暗記型と思考型

担任としての指導方法で転機を迎えたのは、やはり「思考型」と「暗記型」の導入だろう。

できる人の教え方

できる人の教え方

  • 作者: 安河内 哲也
  • 出版社/メーカー: 中経出版
  • 発売日: 2007/07/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

この本のたった2ページ分しか書かれていないことなのだが、

あのページを読んだときに「なるほど!これはいける!」と確信めいたものがあった。

簡単にいうとある事項を理解しようとするとき、思考型は「何故そうなるのだろうか~」ということを考え、それが納得できないと次にすすめないタイプである。逆に暗記型はそんな理屈はどうでもよく、パッと暗記してそれを使いこなすタイプである。
ストロングポイントを挙げると、思考型は本質を理解しているので、一を理解して十を知るタイプだ。よって初見の応用問題でもいろいろと試行錯誤しながらとくことができる。暗記型は計算力というか瞬発力があるので、基本問題をテキパキと解くことができる。

ウィークポイントを挙げると、思考型は考えている時間が長いので、勉強した時間が長いわりに問題演習量が足りない。暗記型は知らない問題が解けない。さらに文章理解力が乏しい場合は応用問題がほとんど解けない。

この両方の型、どちらがいいのかというとバランスがいいのが理想である。国公立大学の入試は、センター試験が暗記型、二次試験が思考型の問題となっている。

 

だから、長田は思考型に偏っている生徒が国公立を志望する場合は、必ず「暗記型の勉強法しなさい」と言っている。もしくは、「お前はセンターが突破できないから無理!私立に変えなさい」と言っている。暗記型は二次試験に関しては対策を十分に立てればいいだけなので、あまり変なことは言わないようにしている。

先にも述べたとおり本当はバランスが良いほうがいいのだが、高1高2では偏らせる場合が多い。というのも小学、中学の場合、あまり楽修について考えず、言われたことをやっているだけの場合が多い。なので、まずは診断し、「君は暗記(思考)型だから、こういう勉強法がいいよ」というようにして楽修時間を増やすことに重点を置いている。

 

「彼を知り、己を知らば、百戦危うからず」とは孫子の兵法の言葉だが、まず自分を知ることが大切だと思う。

 

面談をしていて、一番「?」と思うのは苦手科目の勉強方法だ。どうやら、苦手だから得意な人の楽修方法を取り入れたり、親から言われた楽修方法取り入れている場合が多い。だが、自分に合った楽修方法で行うのが一番成績が伸びると思う。柔道で得意技がまちまちなのに、団体競技にいろいろなポジションがあるように、自分に適した技を覚えたり、ポジションにつくことが好きになる、得意になるCHANCE(きっかけ)になると思う。

以前、柔道部の生徒に古典の楽修方法を聞かれたので、「(得意な)英語はどうやって楽修しているの?」と聞いたら、「英文を読みながら、日本語に訳しています」と言ったので、「じゃぁ、古典も同じように古文を読みながら現代語訳すれば?」と伝えてあげた。実際にそれでほぼ満点だったらしい。

まぁ、これが必ずしも正解というわけではないのだが、とりあえずは合っていたようだ。これから文法がさらに入ってきたときにさらに色々と枝葉の学習方法を教えていけばいいだけの話である。

昔の一斉教育と異なり、今は個性を伸ばす教育が叫ばれている。よって教員は楽修方法に関しても自分の経験値だけでなく、本を読み、生徒を観察し、色々な引き出しを持たなければいけない。

小学校時代は覚えることが多いので暗記型が有利である。逆に思考型は、「先生(お父さん)、なんで~は・・・になるの?」と言ってくる面倒くさがられるタイプなのだが、ここで邪険に扱わず、「じゃぁ、一緒に調べてみようか~」と一緒に調べるか、調べるための本やネットなどを教えてあげるといいと思う。

逆に暗記型のタイプは高校1年や2年で挫折する場合が多い。文章を読んで考えながら解く問題が多くなるので。もちろん暗記のキャパシティが恐ろしくある場合は別。そういう生徒を長田は敬意を込めて「暗記の帝王」と呼んでいる。

 

最初は型にはめて、ゆくゆくは異なる型を教えながら、器を大きくする。

「守・破・離」の精神が大事なのかもしれない。

 

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