初めての0点

私は高校卒業後1年間河合塾で予備校生活を送り学習していた。その予備校生活で数学が得意な親友と模擬試験の数学の成績で勝負をすることになった。秋に行われる模擬試験の中で5つの模試を受験し、模試ごとに得点が上だったほうが昼飯をおごってもらえるという約束である。その中の1つに上智大模試が入っていた。

 

当時の上智大理工学部の試験科目は数学、英語、学科指定科目の3科目である。数学科は指定科目が数学なので数学を2回受けることになる。模擬試験も当然同じ形式であった。

模擬試験当日1回目の数学が始まった。マークシート形式であった。解答欄に当てはまる数値を解答用紙に塗りつぶしていく。難しい問題であったが誘導してくれているのでそれに従いながら解くと、解答欄に当てはまる値がぴったり出てくるので正解であると確信しながら順調に解いていく。1回目の数学は7割解けただろう。

 

続いて英語である。刀禰先生のおかげで上智の難しい長文も理解できるようになっていた。しかし、問題数が多く時間内に終わらなかった。2回目の数学は難しくて3割くらいしか解けなかった。そして試験終了後に親友に会うと全然出来ていないと語っていて、そのとき勝利を確信した。

しかし、自己採点を行い始めてすぐに奇妙な値を発見した。正解は5であるはずなのに解答・解説には05と記載されている。問題用紙を見直してみた。最初のページに答えが1桁のときは十の位に0をマークすると書いてあった。私はそれを見落として全て1桁の答えに0をつけずに記入してしまったのだ。やってしまった・・・。1ヵ月後答案が返却された。1回目の数学は当然0点であった。結局これが響いて2勝3敗で敗れた。

 

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このおかげで上智大学入試当日は絶対にマークミスを避けようと思って集中して臨んだ。その影響か過去問で1回たりとも時間内に解き終わらなかった英語が初めて終了15分前に全て解き終わった。数学も今まで一番の出来栄えだった。そして見事に合格した。結局、第1志望校に不合格だったので私は上智大学に進学することになった。

 

自分が上智大学に合格できたのは模試の0点があったからである。あの失敗があったからこそマークミスすることなく試験に集中して臨み、高得点を獲得できた。あの模試を受けずに上智大学を受験していたら私の人生は大きく変わっていただろう。失敗は人を強くする。私は自分の人生を振り返るたびに強くそう思う。

 

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