恥ずかしがらずに便の話をしよう。11

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今月はこの本から!

食事中には読まないようにお気をつけください。

恥ずかしがらずに便の話をしよう (マイナビ新書)

恥ずかしがらずに便の話をしよう (マイナビ新書)

  • 作者: 佐藤 満春
  • 出版社/メーカー: マイナビ出版
  • 発売日: 2017/10/24
  • メディア: 新書

腸内環境改善の必要性

 

ここまでの解説を読んだ皆さんには、腸内環境改善の必要性に関しては、新たにお話する必要がないかもしれません。しかし、さらに腸をケアしてよいうんこを出す必要性を認識していただくために、解説を続けていきます。

 

ここで新たにお伝えしたいのは、「腸は体内でも最も老化しやすい臓器」であるということ。これはマウスの実験でも明らかになっています。「なんだ、そんなこと?」と思われるかもしれませんが、腸の老化は全身に影響を及ぼします。

 

O157のニュースを思い出してください。O157といった食中毒やノロウイルスなどによる感染症腸炎での死亡例は、そのほとんどが高齢者や乳幼児です。高齢者の場合、免疫の働きを高めるビフィズス菌が加齢とともに減少し、免疫機能が低下するからだとされています。乳幼児の場合は免疫機能が未発達のためです。腸の衰えがこういった感染リスクも高めてしまうのです。

 

腸の老化は加齢だけでなく、ストレスや食生活などによっても進みます。腸内環境が悪化し、プチ不調と言われるようなちょっとした体調不良から始まり、がんの原因にも繋がっていきます。

 

最近では、腸内細菌と様々な病気との関連性が明らかになってきています。例えば腸とは無関係に思われる心臓病。心臓病を引き起こす原因の1つが動脈硬化ですが、動脈硬化は加齢以外に、生活習慣病、肥満、喫煙などが原因となっています。腸内環境は肥満や糖尿病に関係しています。ですから、腸内環境が悪化すれば、心臓病を起こしやすくなるといえます。

 

そして胃がん患者の腸内を調べてみると、ビフィズス菌やバクロイデス菌が少なく、ブドウ球菌や緑膿菌が多いことが特徴となっています。難病指定されていて、近年患者数が増加傾向にある潰瘍性大腸炎の場合は、日和見菌が減少し、大腸菌が増加する傾向があります。

 

現在、ここまでは医学的にも研究が進んでいるのですが、では腸内環境をどのようにすれば心臓病や胃がん、潰瘍性大腸炎といった病気が予防できるかといった点については、残念ながらわかっていません。

 

大腸がんに関しても、最近の研究によって、腸内環境との関連性はありそうだという方向になってきています。特定の種類の腸内細菌が慢性炎症を起こし、加えて腸内のバリア機能が低下していった結果、大腸がんにつながる可能性が指摘されています。

 

具体的な予防策はまだ見つかっていませんが、排便という私達の生活と切っても切り離せない行為と関係している腸の環境が、全身の健康と関連し、いかに大切か、ということは理解していただけたと思います。

 

 

 

 

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