無題。18~20

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 一時期、学校の先生だと生活指導とかをしなくてはいけないので、塾や予備校の先生のほうが数学の指導に専念できるからいいなって思っていたことがあった。父親に相談したら、「学校のほうが簡単にクビにならないし、福利厚生も充実しているから、学校にしておけ。」と言われた。

こうやって、専任教員になってみて、非常勤講師の先生の話を聞くとその苦労が良く分かる。千駄木学園は縁を大切にするので講師であっても5年問題は関係なく雇ってもらえるそうだが、私立だけあって、入学定員の増減によって、授業数が減ったりすることもあって、放課後に塾講師をするなど朝から晩まで働いている講師の先生も多いらしい。

 

また、塾や予備校も人気講師なら高給だが、それ以外の先生は給料が安い。また、入れ替わりが激しく、10年続けることも結構難しいらしい。しかも最近は映像授業の影響で講師の数は減少しているとのこと。

 

そうやって考えると、やっぱり学校の先生で良かったなって思うのだが、担任として大変な業務が結構ある。その1つは学級通信の発行。他の先生から、親とのコミュニケーションツールの1つだから、きちんと発行するように頑張ろうと励まされたが、書くことがない。最初は自己紹介やクラスの役員係など書いたり、時間割などいろいろ書いたが、4月の末には書くことがなくなった。もう2週間ほど発行していない。現在第5号で休刊中。。。

 

次は中間テストの時間割で発行しようかな~。

 

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 学校と塾・予備校の違い。それはやっぱり生活指導があるかどうかだろう。僕はそんなに髪も長くないし、染めたこともない。だけど、そういうのって自由だと思うんだよね。千駄木学園は髪染め禁止で髪の毛が目や耳を隠さないように指導している。他の学校に比べたら緩いとは思うが、それでも指導は手間がかかる。

 

入学式に当たり前のように点検があって、僕のクラスの「みき」が茶色がかった色だったので、「もしかして春休みに染めたの?」と聞いたら、「地毛です!」って顔をしかめながら返事をしてきた。まぁ、ここまでならいいのだが、入学式のあと、みきのお母さんが血相を変えて現れ、「こちらの学校は生徒を信用しないんですか!」、と挨拶も無くいきなり発言し、いろいろとまくし立てていった。

 

すぐに宮本学年主任が間に入って、お母さんをなだめてくれたが、僕の発言が悪かったということで謝罪させられた。モンスターペアレントってこういうのを言うのかと1つ学んだが、この程度はモンスターペアレントではないらしい。昔とちがって、今は言葉遣いもきをつけないといけないらしい。ちょっと教師をやめたくなった。

 

女子のスカート点検も面倒だ。僕は高1の担任だから、入学当初ということもあり、クラスの生徒はみんな長いままだが、高2・高3になるとやっぱり短い。先日校門で指導をしたら、「エロ教師」と呟かれた。いやいや、仕事でしたいるだけだし・・・。

 

スマホの利用も面倒だ。授業中に利用するのは勿論ダメだと思うが、鳴ったぐらいは許してもいいと思うんだ。先日、長谷先生が僕のクラスでの授業中に誰かのスマホの着信音が鳴ったらしいが、誰も名乗りでてこなかった。授業後「大田先生、帰りのHRで犯人探して、謝罪に来させて」と言われたが長谷先生の前で出てこなかったのに新人の僕のいう事なんか聞いてくれるわけがない。

 

「みんな、特別に許可するから今スマホで10時20分頃に着信があったか確認してほしい」とお願いしたが、出てくるわけも無く・・・。大体授業中に着信音がなっただけで、1週間担任預かりだなんてルールがあったら、名乗り出てこないよ。。。

 

 

 

 

 

 

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「おはよう!」

「おはよう!」

「おはよう!」

「川井先生、おはようございます!」

「おはよう!」

「おはよう!」

・・・

この1分間で30回はおはようって発したね。この挨拶運動みたいな校門立ち番はどうにかならないかな?

 

本来は生徒の服装指導などをするんだけど、やっぱり新任で生徒の顔を覚えていないと注意しにくい。他の先生も自分のクラスの生徒に話しかけているだけだから、僕もまねをしようと思ったんだけど、そんな心を見透かしたように、背後から長谷先生が「注意出来ないのは仕方ないけど、それなら、ずっと挨拶でもしてみようか!」とボソッと言った。

 

本当に仕方なくやってみたのだが、生徒は返事どころか、僕のことを見向きもしてくれない。

クラスの生徒でさえも友だちと談笑して僕の存在に気付いてくれない。

 

たった10分だが、ティッシュ配りの人の気持ちが理解できた。今度から一往復してティッシュを2倍もらってあげようと思う。

 

立ち番終了の時間になったとき、長谷先生が「いいか、挨拶は口で言うんじゃない。目で言うんだ。相手の目を見ないと返事なんかしてくれないからな。」また、背後からぼそっといった。

 

「いやいや、長谷先生こそ、僕の目を見てくれませんよね?」という言葉がでかかったが、ぐっと堪えた。反論をすると3倍返しで機関銃のように喋られるのはもう勘弁だ。

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