7月14日土曜日、午前中の成績会議を終えて学校を出る。タクシーに乗って、上野駅へ。上野駅からはスカイライナーで成田空港へ。ここまでは順調だった。いや、ここまでで問題があったら問題だろう。
搭乗手続きをしようと思って荷物受付カウンターに並ぶ。チケットをまだ持っていないので、当然受け付けてもらえるわけがないのだが、どうしていいか良く分からないので、とりあえず教えてもらおう、という安易な考えで受付カウンターへ。これは日本だからできること。アメリカでは絶対に出来ないので、ここで、搭乗手続きの仕方を覚えておこうという魂胆。
整列してから受付のお姉さまに、「向こうの機械でチケットを発行してください。」とのこと。今までの海外旅行は修楽旅行4回とツアー1回。自分で旅行するときはこういうことをしないといけないのね。思ったより簡単な操作でチケット発行完了。「俺ってできるじゃん」と自画自賛。油断したわけではないが、きっと油断していたのだろう。
荷物を預けたあと、ツタヤがあったので数冊本を購入。そのあと、一息ついてから、いよいよ搭乗口で荷物検査。
と思ったら・・・。
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パスポートがない!
飛行機のチケットもない。
それらをいれたクリアファイルがない!!
他のクリアファイルはあるのに!!!
搭乗手続きのときには確かにあった。
ないと荷物を預けられないのだから、間違いない。
しかし、そのあとパスポートをどこに入れた?
どこに置いた?
記憶が出てこない。
・・・記憶力まで盗まれたようだ。
とりあえず、搭乗手続きのカウンターに戻る。
だが当然ながらない。
カウンターのお姉さんと話をしながら、
「そういえば、搭乗手続きのとき、荷物を1回開いたな。。。」
まさか、そのときに入れた?
それしかない!
それを伝えると今から荷物を戻してくれるが、「搭乗時間に間に合うかどうかは分かりません。」とのこと。そのあと、急に、「あっ、本屋かもしれない」と思ってTUTAYAにもどるが、どこにもない。
カウンターに戻って途方にくれているときの心情はすごかった。
「あぁ、30万円がパーか・・・」
とか
「卒業生になんて言い訳しようか・・・」
なら、まだ自分のことなのでありだろう。
途中から
「ココ日本ダロッ」
とか
「長田を海外に行かせたくない奴の画策か!」
など、ありもしないことまで妄想し始めた。
いや、本当に。
責任転嫁にしてもひどすぎる。
長田の心の中に、こんな感情がまだ残っていたことに驚いた。
カウンター前で途方にくれ始めて10分が経ったころ。
空港内に
「ナガタユウジ様、至急ANAの??番カウンターまでお越しください」
というアナウンスが。
長田と一緒に探してくれていたANAの方から「あぁ、スーツケースが戻ってきたようですね。
では一緒に確認しに行きましょうか。」と一緒に移動する。
「これでバッグの中に入っていなかったら、ジ・エンドだな」
と思いながら他の便のカウンターに辿り着くと、
カウンターのお姉さまが
「本屋の店員さんからこのクリアファイルが届いております。」
と自由の女神ばりの微笑みをしてクリアファイルを渡してくれた。
パスポートあった!チケットあった!
そのあと、TUTAYAに御礼を言いに行き、チップを渡そうか悩んだが
日本なのでやめておいた。
まさか、日本にいるときに、
こんなコラムのネタを提供できるイベントを発生させるとは・・・。
そんなことに喜んでいる自分がいることに気付いて、憂鬱になった。
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