一流と二流の違い

やっぱりカズは凄いよ。

尊敬する。

 

カズのまま死にたい (新潮新書)

カズのまま死にたい (新潮新書)

  • 作者: 三浦知良
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/02/14
  • メディア: 新書
個人的に一番気に入っているコラム
一流は細部に宿る
マンチェスター・シティに限らず、最近の欧州の強豪は来日して“ちゃんと”戦ってくれていると思う。昔のようなバカンス色は薄く、プレシーズンのなかでのベストを見せてくれる。一昔前なら、「見る」対象だった、世界の一流。そこには一流を一流たらしめるディテールがあるだろう。
マイアミでのこと。2軒のレストランが並んでいた。外観は目立った違いもなく、メニューも大差はない。なのに、片方はお客でいっぱい。もう片方はガラガラ。
僕も賑わう方へ行ってみた。やはり空席はない。そこにすかさずマネージャーらしき男性が声をかけてくる。「君は日本人かい?OK。ちょっと待って。」。言葉巧みに僕らを引き留めると、間を置かずにテーブル席をしつらえてみせた。
2人はここ。5人ならあそこへ。席の動向を把握しながら、頭の中の配置図でパズルを解くようにてきぱき差配していく。客は隣の店ならすぐに座れるのに、彼の存在に誘われるように次から次へ、混雑する方へ引き寄せられる。店を繁盛させる一流の仕事だね。
肝心なのはちょっとした、さりげないものでもある。棒知人が譲りものの上着を着ていた。50万円はしそうな品。ところが、ちっともよく見えない。すし職人でもある彼に僕は言った。「乗せるマグロの赤身がデカけりゃ、すしはうまい、とはならないでしょう。わさびや酢の加減、微妙な握りの具合、目立たない細部も大事でしょう。身だしなみも一緒。合わせる靴やシャツにも気を配らないと、100万円の上着でも台無し」
洋服職人は裾や丈の0.5センチがスタイル全体のバランスを生かしも殺しもすることを知っている。そこで3.5センチなら、どんないい靴でも買いません。ピッチでも同じ。ボールをどこに止め、置くかの20センチの差。もう1メートル寄せられるか、判断をコンマ1秒早くできるか。いいサッカーはディテールの積み重ねだ。
日頃は空席もある会場が、シティが来れば人であふれる。「アクセスが」、「開催時刻が」とよく挙げられている言い訳は、質を伴う一流には不問ということだね。僕らも言い訳に逃げず、技と質を磨かないと。

 

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