今月はこちら。
- 作者: 野村克也 中野信子 他
- 出版社/メーカー: セブン&アイ出版
- 発売日: 2020/04/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
今回の5回は野村克也(野球評論家)
忍耐の裏にあるのは、希望である。
技術には限界がある。だからといって安易に限界を口にしてはならない。努力を怠らず、やるべきことを限界までやりきり、そのうえで結果が出ない段階が、技術的な限界なのだ。
壁にぶち当たるのは、限界だからではない。単なる逃げであり、妥協の産物にすぎない。あるいは技術的に未熟なだけだ。限界にぶちあたったと思ったときこそが、真価が問われるスタート地点となる。そこからが、本当の闘いの始まりである。プロの世界で、妥協、限定、満足は禁句なのだ。
努力することに関して、私は誰にも負けなかったと自負している。それを「辛い」「苦しい」とはいっさい感じなかった。それどころか、「楽しい」とさえ思ったものだ。
なぜなら、忍耐の裏側には希望があったからだ。「一流選手になれば、家族に楽をさせることができる」という希望のほうが、忍耐に伴う辛さや苦痛よりも遥かに大きかった。
「努力しなければいけない」、「耐えなければいけない」という意識が消えないうちは、まだまだ半人前なのだ。
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