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- 作者: 小林吉弥
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2020/10/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
演説、スピーチでの真の雄弁とは、
あぁ、今日話を聞けて良かった、
と思わせることだ。
聞き手との「一体感」をどう醸すかが
ポイントになる。
田中角栄の演説、スピーチは「角栄節」と呼ばれ、田中人気の背景の1つでもあった。
絶妙な「間」のとり方、比喩、たとえ話をふんだんに織り交ぜつて笑いを誘いつつ、突然、トーンを変えて数字の速射砲えお浴びせかけ、現実を突きつけて聴衆の目を醒ます。また時に「情」を盛り込んでしんみりさせ、そこへ突然どでかい「夢」を投げ込んでくる。そのうえで、結びはビシッと抑えるという、まさに緩急自在のそれであった。聞き終わった聴衆の誰もが酔っぱらったように、「今日、来て良かった」と顔を紅潮させたものである。
田中自身はこう、豪語していた。
「私の演説、スピーチは田舎のジイサンやバアサン、学生、会社の経営者など、誰が聴いてもわかるようにできている。何百人いても、その一人ひとりと対話できる。一体感が成立しているから、皆、ああ今日話を聞けてよかった、となるんだ。真の雄弁ということじゃないかな」。
また、つい熱が入り、演説、スピーチの制限時間がオーバーするときがある。秘書がそっと「時間です」のメモを演壇に置くと、田中はよく「そんなもの放っておけ」と小声で言っていた。皆が一所懸命に聞いてくれる。「途中で止められるか」、田中の心意気である。ここでは「一体感」を醸すための全力の気配りがうかがわれるのである。
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