田中角栄新名語録。4

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新 田中角栄名語録

新 田中角栄名語録

  • 作者: 小林吉弥
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2020/10/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

名前をフルネームで覚えておくことだ。

相手の信頼感が変わってくる。

 

例えば、外で人に会ったとき、「山田さん!」と声をかけられるのと、フルネームで「山田一郎さん!」と呼ばれるのでは、親近感を感じるという点では、断然後者に軍配が上がる。そこまで自分のことを覚えてくれていたのか、と相手の信頼感もグッと変わってくるということである。なかなかの人心収攬術といっていい。

 

田中角栄もよくこの手を使った。大蔵大臣時、大蔵省の課長あたりと廊下ですれ違ったりすると、例えば「おっ、佐藤二郎くんじゃないか。元気か。」とやる。課長とすれば、大臣がフルネームで一課長のオレのことを覚えてくれていたのかで、いささかの感慨とともに改めて田中への親近感を覚えるということである。

 

しかし、記憶力抜群の田中でもフルネームを忘れることはある。新潟の選挙区で支援者に会った時、田中はこんなテクニックでフルネームを引き出すのだった。

 

「やぁ、しばらくだな。元気か。アンタの名前が出てこない・・・」

「渡辺ですよ」

「そんなことは分かっている。ジイサンが村長の頃からの付き合いだからな。バアサンは若い頃、村一番のベッピンだった。下の方の名前だ。」

「三郎です」

「そうだ。思い出した。渡辺三郎さんだった。たしか息子が二人いたな。もう嫁ももらっただろう」

 

なんていうことはない。フルネームすべてをわすれてしまっていたのだが、下の名前だけを忘れたフリをしてフルネームを引き出してしまうという凄いテクニックである。あとは改めて両者の距離感を一気に千々締めてしまうということである。相手にフルネームで呼びかける気配りは、信頼感を得るという点ではなかなかの効果がある。

 

 

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