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- 作者: 小林吉弥
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2020/10/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
仕事をすれば批判があって当然。
しなければ責任回避を見抜かれ、
叱る声さえも出なくなる。
田中角栄は陣笠議員の頃から「公営住宅法」「道路三法」など自ら議員立法を提案、成立させて、戦後日本再建のための法律整備に命を懸けた。その数じつに33本。比類のない政治能力と言えた。その後、過疎解消、格差是正を旨とした「日本列島改造論」を引っ下げ、首相の座に就いた。田中がこうした一連の政策にチャレンジしなかったら、日本経済の再興もどれだけテンポが落ちていたか。政治はプラスマイナスの差し引きで評価されるのである。
田中派「仕事をすればー」の言葉に続けて、いかにも田中らしい言い回しでこうも言っている。「私の人気が悪くなってきたら、ああ田中は仕事をしているんだと。まぁ、こう思っていただきた。」
たとえば、ある人が新たなポストに就き、積極的に仕事にチャレンジしたとする。うまくいけば拍手となるが、失敗すれば冷ややかな目にさらされる。チャレンジには当然リスクが伴うのである。
逆に無策、何もしなかったらどうか。適当にお茶を濁すというやつである。しばらくは新ポストのご祝儀で上からの叱責は届かない。失敗もないのだから、その間、叩かれることもない。
しかし、時間が経つと情勢は一変する。「何の発想、構想力もない男だ」の声。一方で常に我が身大切、リスクの伴うことには手を出さぬ責任回避の体質もまた、見抜かれる。責任を回避する上司は、生き残ることはできない。昇進はここまで、次は窓際が待っているというこになりかねないのである。
「行為する者にとって、行為せざる者は最も過酷な批判者である」とのことわざもある「最も過酷な批判者」に目を瞑り、邁進できるものだけが、リーダー、上司の有資格者だと田中は言っている。田中の言葉は「心せよ上司。事なかれ主義が一番いけない」とも聞こえるのである。
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