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- 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
- 発売日: 2020/10/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
“さざれ石の”というところまでくると
こめかみのところがジーンとしてどうにもなりません。
笹原正三(レスリング)
レスリング・フリースタイル・フェザー級の笹原正三は、大学4年からこの五輪までの国内外の試合で無傷の200連勝を飾った。五輪の2年前には世界選手権を制覇。日本中の期待を背負い、開会式では旗手の大役も務めた。金メダルは目標ではなくはたすべき使命となっていた。
しかし、笹原はそんなプレッシャーを感じさせない闘いぶりで勝ち進んだ。対戦相手が「ササハラズ・レッグシザース」と呼んで恐れた必殺技「股裂き」を武器に、すべての試合で相手にポイントを与えることのない完全勝利。世界王者にふさわしい圧倒的な強さで、金メダルを手にしたのだった。
そして、表彰式。笹原が台の真ん中に立ち、「君が代」が流れた。
「何といいますか“さざれ石の”というところまでくるとこめかみのところがジーンとしてどうにもなりません。」
頬を伝う涙が、背負っていたものの大きさを物語っていた。勝ち慣れているはずの笹原だが、五輪での勝利は格別のものがあったのだろう。
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