免疫力。12

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免疫力 - 正しく知って、正しく整える - (ワニブックスPLUS新書)

免疫力 – 正しく知って、正しく整える – (ワニブックスPLUS新書)

  • 作者: 藤田 紘一郎
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2020/06/09
  • メディア: 新書

加工食品は免疫にとって「異物」

 

化学合成された食品添加物を頻繁に腸に入れると良くないのは、免疫細胞にダメージを与えるためでもあります。私たちの身体を構成する細胞は、1万年前から変わっていないことはお話ししました。これは免疫細胞も同じです。

 

免疫システムは、「非自己」と判断される異物が入ってくると、その排除に働きます。このとき、自然免疫の一種である好中球は「活性酸素」という物質を発射して異物を殺していきます。化学的に合成された食品添加物も1万年前の世界になかったので、免疫システムにとっては異物です。化学合成の食品添加物を含む食品をとるということは、腸の中で活性酸素を充満させてしまうことにもなるのです。

 

この活性酸素は、酸素よりずっと強い酸化力を持つ、人体にとっても危険な物質です。酸化は廊下を導きます。たとえば、鉄が酸化すると赤茶に変色し、ボロボロに崩れます。リンゴも皮をむいたまま放置すると酸化して赤茶色に変わり、しんなりして美味しくなくなります。これが酸化の現象です。

 

人の細胞が活性酸素を浴びて酸化すれば、細胞はもとの機能を失い、劣化します。免疫細胞やパイエル板が活性酸素を浴びれば免疫力は低下します。腸で活性酸素が充満すれば、腸内細菌の数が減って腸内フローラは乱れ、腸壁の状態も悪化します。

 

本来、体内で活性酸素が多く発生して細胞が酸化すれば、祖式や内臓は正常の働きを保つために、新陳代謝によって新たな細胞を次々に入れ替えていくのですが、活性酸素の発生量が多いと、それが間に合わず、身体の中の老化がどんどん進んでいくことになるのです。

 

しかも、活性酸素はがん細胞をつくり出します。人間の身体は約37兆個の細胞で構成されていて、そのうち約2パーセントが新陳代謝などで毎日新しく生まれ変わっています。今もこの瞬間にたくさんの細胞が死に、新しく生まれ変わっているのです。

 

細胞にとって、これは大変な作業です。1つの細胞の中には、約30億字分もの情報があり、それは百科事典20巻分にもなります。それを1字たりとも間違えないようにコピーしながら細胞分裂をしなければなりません。このような天文学的な作業のなかで、ミスが起こらないはずがないのです。

 

このとき、ごく一部の細胞にコピーミスが生じ、遺伝子が傷ついて、がん遺伝子が目覚めてしまうことがあります。そのきっかけの1つが、活性酸素なのです。つまり活性酸素は、異物の排除に必要な免疫物質の1つではあるけれども、一方では老化やがん細胞をつくりだし、免疫力の低下も引き起こす危険な物質なのです。

 

身体はそのリスクを抑えるために、抗酸化物質を自ら作り出せる仕組みを持っています。抗酸化物質とは、「とくに酸化されやすい物質」のことで、これを身体に十分に巡らせておくと、活性酸素が発生したときに真っ先に参加されてくれるので、身体の細胞が傷つかすにすむのです。けれども、活性酸素の発生量が多くなりすぎると、身体がつくる抗酸化物質だけでは対応しきれなくなります。

 

しかも身体が作る抗酸化物質は20代をピークにどんどん減っていきます。20代を終える頃から「歳を取ったな」と感じることが増え、病気もしやすくなるのは、活性酸素の発生量が身体を作る抗酸化物質の量を上回ってしまい、体内の老化が進んでいくためです。

 

こうしたことを防ぐには、異物の接種をできるだけ減らすことです。そのためにも化学合成された食品添加物はできる限りとらないほうが良いのです。

 

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