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- 作者: 山口路子
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2016/08/10
- メディア: 文庫
犠牲というのは、
「したくないことのためにしたいことを諦める」
ということでしょう。
これは犠牲なんかではありません。
私が授かった贈り物です。
デザイナージーンズをはいたマザー・テレサ。
「あなたは自分の時間を犠牲にしているのではありませんか?」と問われて反論したときの言葉です。
ユニセフ特別親善大使は、年に一度払われる、ほんの少しの手当以外は無給。公的な交通費、宿泊費以外は自己負担。病気の蔓延している国々における健康面でのリスク、内戦のための身体的リスクも引き受けなければならないので、半端な覚悟は務まらない仕事でした。
オードリーの活動が広く知られるようになると、彼女は「聖オードリー」、ときに「デザイナージーンズをはいたマザー・テレサ」などと呼ばれました。現地視察者としてのオードリーは、たいていはチノパンかジーンズ、ラコステのシャツといったラフな服装。
最晩年、オードリーのクローゼットには十着ほどのドレスしかありませんでした。そのほとんどをチャリティーのために売りに出したからです。
ファッション大好き、と公言し、ジヴァンシーの服は自分を護ってくれる、とまで言っていたオードリーでしたが、人生で、本質的に大切なものを見出してからは、服で自分を護る必要は、もうなかったのです。
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