今月はこの本のコラムを取り上げて
長田が思うことをつらつらと
学校ってなんだ! 日本の教育はなぜ息苦しいのか (講談社現代新書)
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2021/08/18
- メディア: Kindle版
手をかけすぎる母親の悩み
鴻上:先ほど話したように、僕は雑誌とウェブサイトで人生相談を担当しています。毎月50本を超える相談が寄せられるのですが、先日、担当編集者が、「ぜひ、これを」と持ってきたのが次のような相談。
「娘が『クレヨンしんちゃん』のケツだけ星人のマネをしていて、もうこの4月から小学校に入るんだけど、このままいったら女の子なのにケツだけ星人をしていることで、どんな烙印を押されてクラスでいじめに遭うかわからない。どうしたらよいでしょう」
まぁ、正直、脱力したんですが、そのお母さんにしてみれば切実な悩みなのかもしれない。なので、こう答えたんです。
「なぜ、子どもたちがケツだけ星人のまねをするのか。それは大人が反応するからです。大人が顔をしかめたり、むっとしたり、怒ったりするからやるわけで、その反応を子どもたちが楽しんでいるし、甘えているわけだから、そんなことを問題にすること自体がおかしいのではないでしょうか」
このあたりも工藤さんに聞いてみたいんです。たとえばこの子が小学校に入って、校内でケツだけ星人を真似したとします。それでもし浮いたとしたら―下品だからというよりも、いまどきケツだけ星人かよ、といったギャグセンスの無さが、子どもの世界で浮いてしまう可能性もある。そこで、この子はようやく自分の失敗に気づく。こうやって気づきながら、子どもは成長していくものだと思うんです。失敗することは子どもの権利ですから。でもやっぱり、今のお母さんたちってこのレベルの心配に囚われてしまっているんですよね。
工藤:今の相談事例からすると、このお母さん、ほんとうにこういったことで心配しているのだとすれば、手をかけすぎるタイプの方かもしれませんね。
鴻上:たぶん。先回りして先回りして余計な心配を重ねていくお母さんでしょうね。(最近は、こういう母親を「カーリングママ」と呼ぶんだそうです。見事なネーミングだと思います。)
「失敗」と書いて「せいちょう」と読む。
失敗させないのではなく、失敗からの復元をさせてあげられるといいですよね。
大人になったら、失敗できなくなりますから、
子どものうちにたくさん失敗させておきたいところです。
まぁ、見えないところで何が起きるかが不安なんでしょうけど、
いつまでも見続けることもできないんだから、
自律を促せるようにしないといけません。
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