苦手科目はトラウマ

私は理科が苦手だ。それでも今は克服しているので、理科の本質を語ることはできるが、ここでは敢えて苦手科目の克服の仕方を話したい。

 

皆も2学期の10月11月に文理系を選択するのだが、私は高2で新しいクラスになったときに、多くのクラスメイトに「なんでお前が理系クラスにいるんだ。絶対に文系だと思っていたよ」と言われた。その当時、社会が一番の得意科目だったので、皆がそう思う気持ちは理解できる。その当時、理科が赤点ギリギリでなんとか進級したので、皆が「こいつ留年するんじゃないか?」と心配した気持ちもよく理解できる。

 

私は中3のときの模試で数学の偏差値が73、理科の偏差値が37というダブルスコアをたたき出したことがある。高校受験では、埼玉県西部地区で一番の高校を第1志望にしてい たのだが、この理科の成績では当然ながら合格できないので、親が家庭教師を雇った。おかげで理科の偏差値は65ぐらいまであがった。

 

ただ、こうやって、成績が上がって思ったことは、その家庭教師の教え方がとても素晴らしかったとかではなく、ただ単に勉強していなかっただけ、ということだった。あのときは家庭教師に、膨大な量の宿題を出されて必死に暗記していたなって思う。

 

今、教員になって過去を顧みると「苦手科目というのはただ単にやっていないだけではないだろうか。」と考えるようになった。

一所懸命に過去を遡って出てきたのが、小学3,4年生のときの理科のテスト。それは、「太陽がこの位置にあるときにできる影の

部分を塗りなさい」という太陽と影に関する問題で、なぜか、最後の余った時間のお遊びだと勘違いして、図のように全部の方向に

影を塗ってしまったということがあった。

 

 

生にも親にも「ふざけるな」と怒られた。たしかに、誰がどう見てもふざけているようにしか見えないわけだが、いや、実際にお遊びだと認識したのでふざけていたわけだが、この怒られた経験が理科を苦手科目へと昇華させたのだろう。

 

中学時代「理科なんて学んで将来何の役に立つんだ」としょっちゅう言っていた記憶がある。得意な数学のほうが何の役に立つか分かりにくいのに数学に関しては一切言ったことがない。こういう発言はただの苦手科目に対する言い訳なんだと理解した。

 

やはり、苦手科目は勉強しようという意欲が湧かないので勉強時間は少ない。勉強時間が少ないからこそ、良い成績が取れないのだ。得意科目というのは好きなので放っておいても楽修する。楽修時間が多いから自然と成績も上がる。

 

だからこそ、苦手科目は1人でやらずに誰かに教わることが大事だと思う。教え方が上手い人に教われば「なるほど。そういう意味だったのか」と感じることが増える。しかし、実際にそうやって苦手科目を周囲の人に聞くことは少ない。私も中学時代に親が家庭教師を雇うかという話になったときに「自分で頑張る」と言ったが偏差値は5くらいしか上がらなかった。苦手な科目を苦手な人が頑張ったって正しい努力の仕方を知らないのだから、一所懸命頑張ったってたかがしれている。

 

苦手科目を質問すると、「できないことをバカにされるのではないか」と恥ずかしがる人もいる。とても理解できる心情だが、そのままで成績が上がることは決してない。やはりやる気は勇気であって、勇気を出して質問することが成績向上に繋がると確信している。

苦手科目が苦手な原因。子供の頃に何かしらのトラウマがあって、心がそっちの方向に向いていない。だから勉強時間も少なくて、なかなか成績向上しない。本当なら質問するなりすればいいのだが、恥ずかしくてできない。

よって、まずは楽修時間を増やすところから。まずは勇気を持って質問するところから。

 

 

 

このコラムは以前から生徒に読ませているのだが、現在大学3年生で通信第015号に受験報告談を掲載しているOGがこんなコラムを書いてくれた。(長田クラスは生徒に年間20回~30回くらい作文を書かせている。)

先生のコラム「勇気を持つ」を読んで

よく先生が話してくれる理科の苦手な理由。ふと私も考えたら数学が苦手なのは理由があった。小2の時にやったテストで20点を取った時にこれでもかっていうぐらい親に怒られた事を思い出した。トラウマなのかな、やっぱ。

でも、理系に決めたからには頑張りたいと思う。……ちょっとずつ、笑

ちなみにこのOGは看護学科を志望していた。数学が苦手だったということもあって、高1の時に文理系の選択にかなり悩んでいた。そこで三者面談の時に私は「あなたは読書も好きだし、人に教えるのも上手いから、国語の教師を目指せば?」と文系に進学を勧めたが、将来の夢から逃げることなく理系に進学する道を決断した。

時間があれば、自分が苦手科目になった理由を考えてみるのも面白い。苦手と感じた分岐点に戻って再スタート。私は読書に関しても絵本や川柳から生徒に勧めることがある。そういうところから戻ると、国語の成績が伸びることは結構多い。

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