「責任」について

世間ってなんだ (講談社+α新書)

世間ってなんだ (講談社+α新書)

  • 作者: 鴻上尚史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2022/09/21
  • メディア: Kindle版

 

今月はこの本のコラムを掲載して、

そのあとに自分の意見を少しだけ……。

 

 

不祥事による過去作品の封印は誰のためか

ピエール瀧容疑者に関して、これから放映予定の作品だけでなく、過去作品が葬られていきそうだったので、実に当たり前の感想として、「出演者の不祥事によって、過去の作品が封印されるなんて風習は誰の得にもならないし、法律的にもなんの問題もないし、ただの思考停止でしかない。ここで製作者は踏ん張って、作品と1人の俳優はイコールでないと持ち堪えられないと、この国の文化は悲惨なことになってしまう」とツイートしました。

結果として、5日間でインプレッションという閲覧数が360万回。「リツイート」が約3万、「いいね」が6万になりました。僕自身のツイッター歴では、最大の数字です。マスコミからネットから、インタビューやら取材やらの依頼が殺到しました。

僕自身、まったく予想できないことでした。反論も当然来ました。

マスコミでは、僕のツイートを紹介して、酸性と同時に反対の意見も紹介していました。

 

「薬物の汚染された芸能界では、これぐらいのことをしなくてはダメ」とか、「こんなことをしない人を集めて作品を作ればいいだけのこと」とか、「鴻上尚史は麻薬にさんせいなのか」なんて反論でした。

360万の閲覧で、直接返信してきたのは、275人(こういうことが詳しく分かるのが凄いところです。)

でね、そのうち、「何を言っているんだ! お前は犯罪者を擁護するのか!」と怒ったり、批判したりするのは、約100人でした。

直接返信ではなくて,僕の名前を上げて、反論、中傷、批判、難癖などの発言は、ツイッターをエゴサーチした結果、約100人ほど。(多くて)200人ほどでした。

でね、名著『ネット炎上の研究』(田中辰雄・山口真一、勁草書房)によれば、「過去1年に書き込んだことのある『現役』の炎上参加者

は、インターネットユーザーの0.5%しかいない」という統計的調査があるわけです。

360万が見て、そのうちの0.5%は1万8000人。けれど、どう見てもそんなに多くのツイートはありませんでした。

この本では、恒常的に粘着している人の数は、さらに減り、0.00X %だと書かれています。

360万人が見て200人が怒り、それを(多く見積もって)計1万人がリツイートしたら、割合は0.3%です。つまりマスコミは99.7%の意見と0.3%の意見を両論併記して、平等に紹介したわけです。

 

これもまた、僕は「思考停止」だと思います。「一方の意見だけを紹介したら、後から何を言われるか分からない。両方、同じように並べよう」という機械的な判断です。

この割合は無視していいとか、紹介の仕方に割合を対応させよう、なんて柔軟な思考はありません。

もちろん、出演しているCMが中止になるのは、納得できます。CMは企業が選ぶものです。

これから放送されるテレビ番組の出演場面が削られるのは、(ドラマ創作者としてへ非常に苦痛ですが、)仕方ないかもしれません。

けれど、過去作品の封印は誰にとって役に立つのかと思います。

 

 

東日本大震災以降、不通だった「三陸鉄道リアス線」が3月23日にようやく開通する記念として、再放送が予定されていたNHK朝ドラの『あまちゃん』の総集編後半が、ピエール瀧容疑者が「東京編」に出演していたので、放送中止になりました。

この鉄道は、番組では「北三陸鉄道リアス線」の名で何度も登場し、北三陸と東京をつなぐ重要な役割を果たしました。意味のある再放送になるはずでした。NHKはDVDの販売についてもどうするか「関係者と協議中」と答えています。

 

ピエール瀧容疑者は、現在、社会的制裁を受けています。有罪判決が確定すればさらにうけるでしょう。

が、それと、過去作品が封印されていくことがイコールになるというのはまるで子供が犯罪を犯したら、親までも罰せられるような大昔の連座制そのものだと思うのです。

NHKも民放テレビ局も、そして大手の映画会社も、100万人が問題にしなくても10人が抗議したら、機械的に封印するでしょう。

それは、文化にとってとても悲しいことだと思うのです。

 

 

 

思うのは自由だと思いますが、自分と接点のない人に意見を言うのはどうかなって思います。大体TVって無料なんだから、有難いぐらいの気持ちでいいんじゃないかな?

お金を払うなど直接関わっているケースはありだと思うんですよ。国会議員とか、私たちが納めた税金の使い道を考えている人たちなどのケースとかね。いくらなんでも直接購入しているとかいってCMの企業とかっていうのはまた違うことだと思います。

 

距離感なんですよね。みんなもっと距離を取ろうよって思います。まずは自分の近しい人から少しずつ縁を拡げていく感じ?

 

 

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