今月と来月はこちらの本のコラムでも。
生き苦しさから解放されるのは難しいでしょうが、
原因を知ることで少しでも緩和できれば。
「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書)
- 作者: 鴻上 尚史
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2020/03/12
- メディア: Kindle版
「世間」のルール2
「同じ時間を生きる」ことが大切
これが「世間」の2つ目のルールです。
「世間」に生きている人は、「あなたと私は同じ時間を生きている」と思っているのです。
どういうことか具体的に説明します。
あなたが、土曜日に先輩からおごってもらったとします。
あなたは月曜日、学校に行って先輩に会ったら、「土曜日はありがとうございました」とお礼を言うでしょうか?
多くの日本人は、週末、先輩や上司にごちそうになると、月曜日に「先週はごちそうさまでした」と言います。
あらためて、感謝の言葉を言うのです。
それは、先輩や上司と「同じ時間を生きている」と思っているからです。
欧米で同じことを言うと「ん? わざわざ、ごちそうさまでしたと言うということは、今週、また奢ってほしいということか?」と思われます。
日本の会社は、電話をして名前を言うと「いつもお世話になっております」と案内の人(女性が多いです)は言います。
あなたが初めて電話しても、間違いなく言います。(大企業ほどこの傾向があります)
それは「わが社に電話してくれるということは、今までずっと付き合ってくれているに違いない」と思っているからです。
あなたと私はずっと同じ時間を生きていると思っているのです。
「これからもよろしくおねがいします」というのは、英語に翻訳することができません。日本人としては「これから先、同じ時間を過ごしますから、うまくやっていきましょう」という意味だと分かりますが、前提となる「これから先、同じ時間を過ごしますから」ということが、英語では伝わらないのです。
もちろん通訳さんはプロですから「あなと仕事が出来て嬉しい」とか「いい関係を築いていきたいです」とか欧米人にも理解できる言い方に翻訳して伝えますが、日本語のニュアンスとは違います。
私たちは、「同じ時間を生きる」ことが大切だと考えるので、同じ時間を生きれば生きるほど、仲間だと思う傾向があります。
何もしなくても、一緒にいるだけで価値があると考えるのです。
日本の会社は、世界的なレベルで残業時間が多いです。「過労死」は、英語になりました。「karoushi」です。その一番の理由は「上司がいると帰れない」「社員全員が同じ時間を過ごすことが大切」という意識です。
仕事をするかどうかではなく、同じ時間を共にし、会社にずっとい続けることが重要だと思われているのです。
あなたにも経験ないですか?
クラブ活動でも、とにかく長時間、部活に関わっていればいるほど評価される傾向がありませんか?
試合の成績がいい人が評価されるのはもちろんですが、それだけじゃなくて、どれだけみんなと一緒にいたか、みんなと共に時間を過ごしたかで評価されるということはないですか?
それはお互いが同じ「世間」に生きているという確認です。一緒にいる時間が長ければ長いほど、お互いが同じ強い「世間」に生きているということになります。
逆に言えば、会社やグループ、部活などで集団行動をするとき、一人「帰ります」と言ってみんなと違う時間を過ごすと「世間」から外されてしまうのです。
違う時間を生きている人間は「世間」の人ではない、と思われてしまうのです。
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まぁ、分からないこともないです。
一緒にいる時間が長いと情が厚くなると思うようなもんですよね。
だけど、心で繋がればそんなこともないのかなって感じます。
とりあえず、今年は学年主任だったから、
私がいることで……。いや、みんな早く帰っていたから大丈夫だと、思う。苦笑
日頃から遅くまで残っているH野先生やT石先生は自発的に残っているだけだよ。
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