「空気」を読んでも従わない。4

前月と今月はこちらの本のコラムでも。

生き苦しさから解放されるのは難しいでしょうが、

原因を知ることで少しでも緩和できれば。

「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書)

「空気」を読んでも従わない 生き苦しさからラクになる (岩波ジュニア新書)

  • 作者: 鴻上 尚史
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/03/12
  • メディア: Kindle版

「世間」のルール4

仲間外れを作る

世間の4つ目のルールは「仲間外れを作る」ということです。「世間」は一つにまとまるために「仲間外れ」を作ります。これは理解しやすいかもしれません。

江戸時代に一つの村がまとまれたのは、隣村があったからです。「世間」は、常に、自分たちではない人たちの存在を意識することで、そのまとまりを強くします。例えば、仲間内だけで通じる言い方、仲間内だけで通じるサインやアクションを選ぶのも「世間」の特徴です。他の人たちが知らない、他の人たちに分からないというルールが、「世間」の人たちを強く結びつけるのです。隣村を意識するだけでなく、村の中に「仲間外れを作って」、村のまとまりを強くするという方法もあります。

 

いじめは世界中にあります。でも、日本にしかない、いじめの形があることを知っていますか? クラスがまとまって、一人を選び、その一人を徹底的に無視するいじめです。これはとても日本的ないじめです。

世界で起こっているいじめは、いじめる人がいて、いじめられる人がいて、それを見ている人、止める人、面白がる人、無視する人と、いろんな人がいるいじめです。日本のいじめだけが、クラスが1つになって、一人をいじめる、ということが起こるのです。

このいじめの場合、いじめは順番に回ってくる、ということもよくあります。いじめられる人をかばったりすると、自分の番になってしまういじめです。これはクラスが「世間」として強力にまとまってしまっている状態です。「世間」はまとまりを強くするために、意識して気にも無意識的にも「仲間外れを作る」のです。

逆に言えば「世間」のまとまりを強くしたい人は、外部か内部に「仲間外れを作り」ます。そうして、「世間」のメンバーの意識を、その人に集中させるのです。

 

クラブ活動で、みんなのまとまりを作りたいから、ライバルの学校のことを常に意識するようにする、なんてことなら、たいした問題ではないでしょう。けれど、部活のまとまりを作るために、1人生贄を選んで、その人を攻撃する、なんてことになったらやっかいです。

もし、先輩が仲間の誰かをしつこく攻撃し始めたら、「ああ、先輩はまとまりを作るために、あいつを生贄にしようとしているんだ」と見抜いてください。できるなら「あいつはそんなに悪くないですよ」と言えるといいです。先輩の一方的な計画は、そんなこと一言で止めらりたりするものです。

 

これは「世間」との戦い方のところで、もっと詳しく書きます。

 

 

 

 

 

 

 

本来なら理性で動ければいいんですけど、どうしても人は野性で動いてしまうんですよね。

いじめも戦争もなくならない理由はこういうところにあると思います。

世間の良くないところは、それが常識というか、悪いことではない

と認識されていることなのかなって感じます。

 

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