子供たちに伝えたいこと

今月の3の日はこの本のコラムでも

俺しかいない【Kindle限定版】 (WPB eBooks)

俺しかいない【Kindle限定版】 (WPB eBooks)

  • 作者: 堂安律
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2023/03/23
  • メディア: Kindle版

子供たちに伝えたいこと

兄の憂と一緒に小学生向けのフットボールスクール「NEXT10 FOOTBALL LAB」を立ち上げました。JR尼崎駅直結のビル屋上に自前でフットサルコートを2面つくったけど、プロになったばかりのころは自分が稼いだお金でこういうことができるなんて想像もしていなかったです。コンセプトは「世界へ羽ばたく選手の育成」「信頼される人間力の向上」。生まれ育った街から次世代の10番を排出するため、僕と兄がプロのピッチで必要と感じたことを取り入れたりして、オリジナルの指導メニューを提供していきたいと思います。

 

現場の指導については基本的に兄に任せています。コーチとしては兄の方が先輩なので。ただ、僕が世界で感じたことはしっかりと伝えていきます。それをどう嚙み砕いて子供たちに伝えていくかは兄の仕事。兄はJ3で戦力外通告を受けているけど、兄なりに後悔していることが多いと思うんです。「プロになれたんだから、もっと上を目指してやったら良かった」とか。子どもたちにとって、一度壁にぶつかった人の意見は重いと思うんですよ。

 

小学生時代、コーチから初めてかけられた言葉、初めて教えてもらったことはいまだに覚えていますからね。うれしかったこともいやだったことも(笑)。それくらい責任もってやってほしいとスタッフには伝えています。子供たちにはとにかく思い切り楽しんでほしい。サッカーをしている1時間半、2時間は学校の宿題も忘れられる時間になってくれたらうれしいです。

 

 

子供たちと楽しみながらプレーすることで、自分自身もなんだか原点に戻ったような気持ちになることがあります。海外に行ったばかりのころは英語がまったく話せなかったけど、ピッチに立ってボールがあればサッカーでチームメイトと会話ができた。やっぱり、サッカーに年齢や国籍は関係ない。そんなサッカーの素晴らしさに気づきましたし、あらためてサッカーというものが自分たちの言語なんだなと思いました。

 

(早野)陽コーチには、「技術・メンタルを向上させよう! でも遊び心は忘れずに」と口酸っぱく言われていた。彼は小学生の俺たちを子ども扱いしなかった。だから、今一緒にご飯に行っても、「陽コーチ、あのときからこんなことを言うてたよな!」って話で盛り上がるんです。子供を子供扱いしないて、すごく大事なことじゃないですか。それは指導者としても、人としても共通して素晴らしいことだと思う。陽コーチから教わったことにも通じるけど、子供たちと触れ合う中で特に意識していることは絶対に手を抜かないこと。いつも本気で立ち向かいます。それが子供たちを驚かすいちばんの方法だと思っているので。

 

子供たちにはとにかく夢を持ってほしい。本当にそれだけは必ずしてほしいと思います。そして、その夢はなるべくみんなに笑われるぐらいがちょうどいいと思う。ときには自分でも無理と思うようなことにも立ち向かう必要がある。それから楽しむことももちろん大切だけど、プロになってから、現実はそんなに甘くないって感じたことも同時にあります。

 

嘘やきれいごとは書きたくないから正直に言うけど、もしずっとサッカーを楽しみたいなら、一生公園でやっていればいいと思う。サッカー選手として活躍したければ、やっぱり苦しいこともある。だから、プロを目指す子にはそういった苦しいことも乗り越えていってほしいと思います。これは別にサッカーに限ったことじゃない。苦しい時でも努力を続けられるひとは、ひとりの人間として社会で戦っていけるんじゃないかなって思います。

 

最後の段落がものすごく好きです。

どんなプロになるにしても苦しいことを乗り越える力は必要です。

そういうことから逃げずに立ち向かえる生徒を育てたいな。

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