反骨心

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俺しかいない【Kindle限定版】 (WPB eBooks)

俺しかいない【Kindle限定版】 (WPB eBooks)

  • 作者: 堂安律
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2023/03/23
  • メディア: Kindle版

反骨心

『あいつ終わったな』と思われたときからが自分の見せ所。ギラギラしていないと思われたら、俺はサッカーをやめる

 

小4でセレッソ大阪のセレクションに落とされたときも、ガンバ大阪U-23でトップチームに上がれず悔しかったときも、フローニンゲン移籍後になめられたときも、PSVで怪我でもないのに試合に出られなかったときも、W杯最終予選のメンバーから落選したときも、俺を突き動かした原動力はまぎれもなく反骨心だった。

あらため自分のキャリアを振り返ってみると、常に、誰かしら上の存在がいる環境に身を置いてきた。俺はそういう星のもとに生まれているんだと思う。いちばん下からのし上がったらすぐ下に蹴落とされ、またいちばん下から必死に這い上がって……という繰り返し。俺は生まれながらの天才なんかじゃない。挫折ばかりの人生だ。

でも、どれだけ苦しいことがあっても、歩みは止めなかった。その都度、「ふざけんな!」と自分の心に火をつけて、前だけを向いて突き進んできた。サッカー選手として、ひとりの人間として、堂安律らしさとはなにかと言われたら、「気持ち」しかない。

決してメンタルが強いわけじゃない。でも、負けん気の強さ、あきらめの悪さは誰にも負けない自信がある。「プロサッカー選手がそんな単純な言葉を使うな」と思う人もいるかもしれないけど、やっぱりいちばん大事なのは根性だから。

これまで周りの選手が活躍する姿を見て、猛烈に焦り、自分を大きく見せようとしていた時期もあった。でも次第に、根拠のない自信が、圧倒的な自信に変わってきた。何度も何度も挫折を味わい、壁を乗り越えてきた経験が俺を強くしてくれた。

「あいつ終わったな」と思われたときからが自分の見せ所。大きな壁にぶち当たっても、ひるむことはない。W杯最終予選のメンバーから落選したときに「逆境大好き人間」とつぶやいたけど、あれは本心だ。「よし、逆境を楽しんでやろう」という純粋なマインドと、自分にプレッシャーをかけ、「なにくそ!」と奮い立たせるための言葉だった。

 

野心は常に持っている。カタールW杯を経験して、さらに燃え滾って仕方がない。結果に対する貪欲さ、ハングリーさは誰にも負けない。ギラギラしていないと思われたら、俺はサッカーをやめる。現役中に丸くなったら終わりだ。そんな堂安律、見たくないでしょ? いくつになっても、意地でもとんがりつづけてやろうと思う。

 

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