例える

これを書くと色々な人から怒られるのだが、長田はほとんど予習をせずに授業に臨む。教科書をパラパラとめくる程度。今年度から板書を黒板からスクリーンに変えたので、事前に予習ノートを作成しているが、そのときに構成を考えて書くくらい。格好良く言えば、全部頭の中に入っている。もう何度も行っている単元なのでね。これは高校3年生の受験指導でも同様。早慶レベルになるときちんと予習をしないとダメだけど、その下のレベルなら即興でいける。きちんと生徒を納得させる自信もある。

この3学期はそれが通用しない事態が起きた。まぁ、簡潔に述べると、教えたことが無い単元を教えることになった。だから、きちんと予習した。その単元とは「統計的な推測」。期待値や分散は高1でも扱っていたから問題ないんだけど、正規分布とか信頼区間とか棄却域とは初めて見た。いや、自分が大学時代に少しだけかじったけど、もう忘れたよ。苦笑。

今は高校生の教科書に載っているんだよね。いや、かなり前くらいから載っていたんだけど、選択だったからうちの学校では採択しなかったんだけど、数年前からほぼ必修になった。ということで、久しぶりに高2の担当になったから、生徒に分かりやすく教えるために、冬休み中から予習をしていた。

正直に言えば、すぐに理解できたよ。問題は生徒に「『分かる』と『解ける』は違うんだ」と伝えるんだけど、『解ける』と『教えることができる』も違うんだよね。

理屈を教えるのは別にどうってことはないんだけど、それを生徒の脳に染み込むようにするために……。長田が日頃の授業で行っているのは手順をきちんと示すこと。数学の先生だが、日本語を書く量は間違いなく多い。生徒も板書を写すのが大変だと思う。

今回の単元で教える際に工夫したのは「具体例を出すこと」。ただでさえ、数学は将来何の役に立つか分からないと言われる科目なので、今回の単元はAI社会でビッグデータを用いる。その機会が増えたから高校の教科書に載っているんだ。先生が学生のときは掲載されていなかったよ。という上にも書いた話を何度も用いた。「たぶん、社会に出でたときにみんな使うことになるよ」とまで言った。実際最近は理系人気が高まっている。文系出身のSEもたくさんいるからね。

具体例で一番用いたのは偏差値。というか、偏差値以外、生徒が身近に考えられるものがない。なぜ、テストの点数を偏差値換算するのか。それは正規分布を標準正規分布に変換することで割合(確率)を求めるためなんだ、と皆の偏差値について、それこそ教科特性による標準偏差の違いまで説明した。教科書にはそんなこと書かれていないんだけど、身近に感じてもらうために、模試の話もふんだんに盛り込んだ。数学が苦手な人にはこれがさらに嫌悪させるような事態になっているかもしれないが、得意な生徒には興味を惹く感じになったし、それらの話をしたときが、一番生徒の反応が良かった。

他にも標本調査のところでは、ちょうど選挙中ということで、新聞の戸口調査やTVの開票速報など、なぜ、標本調査であれだけ正確に出るのかという話をした。できる限り身近な例を出すことに苦心した予習となった。

これで生徒がきちんと理解して高得点を獲得できるか……、それは教師の説明だけでなく生徒自身がきちんと演習を積んで定着させてくれるかどうかの勝負なので、なんとも言えないが、今回は自分にとっても良い楽修になった。

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