君はどう生きるか。2

教員には是非読んでほしい本ですが、

それ以外の人が読んでも、これからどのように生きていくか

過去と現在の違いについて教えてくれるとても良い本です。

君はどう生きるか

君はどう生きるか

  • 作者: 鴻上尚史
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2024/06/11
  • メディア: Kindle版


孤独な時間を奪った

スマホは、僕たちの孤独な時間を奪いました。「ひとりで考えること」がとても難しくなったのです。

君は家にひとりでいてもひとりではありません。すぐにラインの連絡が来てしまう。いつも誰かと繋がっています。

一人でいても独りじゃない。

僕はそれを「ニセモノの孤独」と呼んでいます。

誰とも繋がってなく、本当の独りの時間が「本物の孤独」です。

「本物の孤独」を経験すると、3つ、良いことがあると僕は思っています。

ひとつは、「君が本当にしたいこと」「本当に思っていること」に気づけることです。

詳しいことは『孤独と不安のレッスン』(大和書房)という本に書いたのですが、昔、ぼくはひとりで南の島に旅行に行きました。その島では、携帯電話が通じず、ネット環境もなく、泊まった民宿にはテレビもありませんでした。

1週間ほど、ただ泳いだり、島を歩いたり、ボーっとしていると、突然、そのときにやっている仕事が「実はやりたくないんだ」という思いが浮かびました。同時に、その時に仕事で付き合っている人のことを「実はあんまり好きじゃないんだ」と気付いたのです。

びっくりしました。もちろん、1週間前、東京でバリバリ仕事をしているときには、そんなこと夢には思いませんでした。南の島でボーっとしているうちに、自分の心の奥底にあって、ずっとフタをしていた気持ちが表れたのです。

もし、誰かと一緒に行ったり、スマホが通じる環境だったり、電話で仕事の打ち合わせをしていたら、間違いなく気づかなかっただろうと思いました。「本物の孤独」という時間を過ごしたから、ぼくは自分の本当の気持ちを発見できたのです。

君は忙し過ぎたりしない? 学校と塾と部活と習い事と友達の付き合いの中で「ひとりで過ごす時間」を持ててる? もちろん、1週間も南の島に行けないだろう。それは、やがて君が大人になるまでとっておけばいい。でも1日でも数時間でも、スマホの電源を切って、海を見に行くとか、山に行くとか、公園でボーっとするというのは、とても意味のあることだと、僕は思う。

特に、君が何か迷っていて、どうしたらいいんだろうと思っているときは、お勧めの方法だ。ひとりでゆっくり考えていれば、やがて、「君が本当にしたいこと」が見えてくるだろう。

 

次に「本物の孤独」を経験する良い点は、君を「新しい世界」に連れて行ってくれることだ。

ロンドンに旅行に行ったとき、知り合った日本人旅行者は、いつもスマホを見ていた。そして、日本の芸能ニュースやSNSをずっとチェックしていた。ロンドンに来たのにだよ! その人はロンドンから帰る日に「ロンドンはあんまり面白くなかったなあ」と呟いた。ぼくは「それはそうだろう」と思った。だって、やっていることは日本にいるときとまったく同じなんだ。バッキンガム宮殿に行っても、ロンドン塔に行ってもちょっと時間があると、スマホを取り出して、SNSを見ていた。

スマホはいってみれば、日本での生活そのものだ。スマホの画面をのぞけば変わらない日本での日常が飛び込んでくる。どんな場所に行っても、スマホを見続ければ、そこは、毎日の生活の延長になる。ロンドンにいても、日本をリアルに感じる。それは、とても安心だけど、それでは、ロンドンに来た意味がない。

スマホをちょっと横において、ロンドンの街を歩くと、本当のロンドンと初めて出会える。ロンドンの街やロンドンの人々を発見するんだ。初めて本当のロンドンを体験する。それは不安だったり、戸惑ったり、混乱したりするけど、とても大切な経験なんだ。

本当に君を変えてくれるのは、手軽なものではなく、重くハードな体験だ。

最近のSNSのアプリは、どんどん、ひとつひとつの動画の時間が短くなっている。理解することが簡単になったんだね。2時間の映画は、理解するのにエネルギーが必要になる。それが1時間になり、30分になり、2分になり、20秒になれば、どんどん理解しやすくなっていく。

ちょうど親が、子どもが食べやすいように、肉を小さく切ったりするのと同じだね。短くなればなるほど、君は頭を使わなくても理解できるようになる。

ネットをぶらぶらとさまよっていると、あっという間に時間が経つだろう。理解することが簡単だから、甘いスイーツみたいに、ずっと食べられるんだ。でも例えばロンドンで、スマホを横に置いて本当のロンドンと出会うというのは、長編映画を何本も見るようなものだ。とっても体力や精神力やエネルギーが必要になる。

でも、そうすると、君は変わっていく。意味のある体験をして、君は変わるんだ。スマホを手放すことで、君はあたらいい世界と出会えるんだ。

 

「本物の孤独」の3つ目の良いことは、「ひとりでゆっくりと考える」時間を持てることだ。

「ひとりでゆっくりと考える」ことは君が成長するためには、必要不可欠なものだ。君が何か新しいことを知ったり、接したりしたとき、それが君の身体に沁み込む時間が必要になる。

新しい考えを本で読んだり、友達から聞いたり、テレビで観たり、ネットで知ったりしても、それが本当に君の考えとして納得し、定着するには「ひとりでゆっくりと考える」時間が必要なんだ。でもスマホは君をひとりにしない。友達やいろんな情報と繋げて、「ひとりでゆっくりと考える」時間を奪っていく。

素敵な映画を観ても、すぐにスマホでググれば、「この映画にはどんな意味があるのか」「どこがお面白いのか」「この映画の見方」が沢山出てくる。でも、それは君の考えではない。そのままそれをリピートして、人に言うことはできる。聞いた人は、感心してくれるかもしれない。でも、それを君はあっという間に忘れる。断言してもいい。簡単に手に入れた知識は、簡単に忘れる。何も残らない。

本当に感動したり、納得したら、「ひとりでゆっくりと考える」時間をとって、それが君の心に沁み込むの待つんだ。

君が新しい知識を得ても、それが君自身のものになるためには、君の身体に深くゆっくりと定着していくひとりの時間が必要なんだ。

 

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長田がこうやって、ブログを書くようになったのも、そもそもは、ウイルス性結膜炎で2週間ほど自宅療養したときだった。そのときに学級通信を発行する決意をして今に至ります。

今の徒歩通勤のときにスマホを使うのは写真を撮るときだけで、基本一人反省会を行っています。自分の心と対話する時間って大事ですよね。

もし独りの時間が無い人はどこかで作り出すといいでしょうし、作るべきです。

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