「自分を動かす言葉」その3

食で身体に栄養を!

本で心に栄養を!与えよう!

ということで長田が好きな本の好きなコラムを紹介します。

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自分を動かす言葉 (ベスト新書)

自分を動かす言葉 (ベスト新書)

  • 作者: 中澤 佑ニ
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2013/02/21
  • メディア: 新書

 

 

厳しい言葉に隠された意味を知る

 

偉人しかり、ブラジル人しかり、こうやって振り返ってみると、やっぱり自分に響 いた言葉というものが、中澤佑二というサッカー選手の行動指針になっていることを つくづく感じさせられる。 その中でも、大事な記憶となっているのがヴェルディ時代,偉大なスター選手たち と一緒に過ごした時間にもらった言葉の数々だ。どこにでもある、若手への何気ない 言葉だったかもしれないが、それらが、僕の今の礎を作っていったに違いないからだ。

僕がヴェルディ川崎の練習生だった1998年シーズンはスター選手ぞろいだっ た○三浦知良さん、ラ モス瑠偉さん,柱谷哲二さん、北澤豪さん、高木琢乜さん,前 園真聖さん、本並健治さん、菊池新吉さん、石塚啓次さん…...もう挙げていければ 毎日、サテライトの選手と3、4人で練習していた僕はトップチームと接すること きりがない はほとんどなかったけれど、たまにそんなスター選手と会うと、そのオーラに気圧さ れて、萎縮してしまったことをよく覚えている。

 

ヴェルディの全盛期だけに、先輩方はいずれも厳しかった。 なんと言っても断トツで怖かったのはラモスさんだ。若手には本当に厳しく,優し い声なんかほとんどかけない。ある時,足を痛めた僕がトレーナーの人に促されて、 椅子に座ってテーピングを巻いてもらっていると、たまたま通りかかったラモスさん が烈火のごとく怒り出した。

 「ジョーダンじゃないよ! 練習生がテーピング? ふざけるんじゃないよ 10年早い ょ!」

僕は一瞬にして青ざめて、何も言えなかった。めちゃくちゃ怖かった。

他にも先輩に叱責された。ある時、午前中にトップチームのフィジカル練習に参加 させてもらい、午後のサテライトの練習に備えようとしていると、クラブハウス 堂で昼食を取っていいという許可が出た。喜んで でランチを食べていると

「ジャージーで飯を食べるな!」

そう僕は怒られた。

僕は尊敬する先輩に怒鳴りつけられ、意識が遠のきそうになった その頃はお金が なくて私服が買えず、だから,小汚いジャージーのまま食事をしていたのだけれど、 僕はそんな言い訳もできず、 「すいません」とひたすら謝るしかなかった。 でも、僕はそんなふうに先輩やラモスさんに怒られた時、不思議と、嫌な気持ちに はならなかった。

むしろ、これがプロなんだと教えられた気がした。 よくよく考えても、プロとして活躍している選手の立場に立ってみれば、若手がト レーナーを専属で使うのをおかしいと思うのは当然のことだ。特に当時、スター軍団 だったヴェルディではサバイバル競争が激しく、 「試合に出ている選手が1番偉い」 という雰囲気があった。その論理からすれば、 「試合に出ていないのにテーピングを 巻いてもらってるなんて、甘い!」となるのも自然なこと

「悔しかったらテーピングしてもらっても怒られない立場になれ」

「プロは人に見られる商売、ジャージーでご飯を食べるなんてもってのほかだ」

そんなメッセージが込められているのではないか,と勝手に解釈してありがたく心 の中にとどめている。 一方で、そのように厳しいプロの世界の中で,優しい言葉を投げかけてくれた先輩 もいた。例えば、北澤さんだ。

 北澤さんは僕が練習生の頃からよく話しかけてくれた

「 頑張れよ !」

「 お前、駅まで歩くんだろ?車で送ってやるから乗ってけよ!」

そんな声をかけてもらうたびに、僕の心は癒されていく気がしたし、自分のような 下手くそな選手にも話しかけてやれる先輩になろうと思った 僕は練習生として過ごした1年間で、さまざまな先輩からそうやってプロ選手とし ての心構えを学んでいったのだ。

 多くの先輩やラモスさんのプロ意識,北澤さんの優 しさは、今でも僕にとっては非常に貴重な財産であり、プロとしての哲学となってい る。

それにしても、あの頃の上下関係は想像を絶する厳しさだったと思う あれほど厳しい関係性は、今の若い選手 たちにはきっと耐えられないだろう。だけ ど、そうやってシビアな世界で教育されることで身についていくことも必ずある だ んなに上と下のつながりが希薄になったとしても、目上の人に学ぶ意識だけ は持ち続けておくべきだと感じている。

 

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叱ることは嫌いだからではない。愛あればこそ。(たまに八つ当たりもあるけどね。)

今は褒めて伸ばす時代だといわれるけど、偏ってはいけない。中庸である。

 

 

 

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