「自分を動かす言葉」その5

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ということで長田が好きな本の好きなコラムを紹介します。

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自分を動かす言葉 (ベスト新書)

自分を動かす言葉 (ベスト新書)

  • 作者: 中澤 佑ニ
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2013/02/21
  • メディア: 新書

 

「はい、分かりました」と言える人間に

 

自分がベテランといわれる立場になったからなのか、今の若い選手たちに対してい ろいろと思うことが出てきた。ビジネスマンの知り合いの方たちと話していても、若 い部下との付き合い方には苦労している、と聞く。ここで少しその点について 書い てみたい。

昔、実家の押し入れの中に横山光輝さんの漫画『三国志」全60巻を見つけて、何げ なく手に取った。まだ小学生の頃だった。父親が好きでそろえていたものらしかった けれど、読み始めると登場人物が魅力的で,ストーリーも面白く,僕は一心不乱に読み漁ることになった。

好きなキャラクターは、人それぞれ分かれるだろう。カリスマ性があって、主人公として活躍する劉備。知性があり、抜群に腕 も立つ関羽。ちょっと単純だけれども、 圧倒的な強さを誇る張飛・・・。どれも甲乙付けがたいほど魅力ある人物だけど、中 でも僕が一番、引き込まれたのは、 趙雲という武将だった。

惹かれた理由は、その忠誠心にある。

ストーリーの途中で劉備の配下として加わった趙雲は、関羽や張飛にも引けをとら ない武力を持っているにもかかわらず、少しもおごったところがなく,思慮深い。 そ の姿がすごくクールでかっこいいのだ!

ある時、敵の大軍が攻めてきて、趙雲は劉備の家族を守る役目を命じられた。する と、趙雲は勇猛果敢に敵軍に立ち向かい,子どもと劉備夫人を見事守りきったのだ。 自分の危険を顧みず、人の役に立とうとする姿勢に,僕は胸を打たれた。あの頃は、 自分も将来,趙雲のような男になりたいと思ったものだ。

その影響というわけではないけれども、僕は上に立つ人間に対して、あからさまに反抗することを好まない。組織というのは、 一定のルールがあるからまとまるものと思うし、目指す方向を無視してしまっては、混乱してしまうだけだ。上司、サッカーでいえば監督に対して、反抗した先に何があるのだろう、と思ってしまうのだ。

では、どうしてもチームとして言いたい場合があるときはどうするのか。僕の場合 監督にまず一回はその思いをぶつける。 もちろん監督の意向などをしっかりと理解し たうえで、個人の意見として伺いを立てるのだ。でも自分の意見を必要以上に主張し りはしない。

もし,それが聞き入れられなくても, 「はい,分かりました」といって すぐに引 下がるようにしている。

もしかすると若い人には僕のような考えは受け入れがたいのかもしれない。けれど, 僕の経験から言えることは,組織にいるいち個人が考えを押し通すのは、決していいことではないということだ。

いくら、自分が正しく周りや組織の方が間違っていると思っても、 組織の目標を考えたうえで必要かどうかを判断しなければならない。どうも,最近は往々にして、自分の努力不足を棚に上げ,安易に上司に意見してしまう風潮がある気がするのだ。

 確かに最近はカリスマ的な存在が注目を集めがちである。暗い世の中を、勢いのあ る言動で突き破ってしまいそうな一見常識に捉われない人たちだ。書店に行っても, そんな本が溢れているし、テレビでもたくさん特集されている けれど、きっと彼ら だって常識を知っているからこそ、非常識に見える行動でも評価 をされているのでは ないだろうか。

自分の組織にスティーブ・ジョブズがいたらそれは結果が出るはずだ。 でも,残念 ながらスティーブ・ジョブズはひとりしかいなかった。自分の今いる組織の中で、掲げた目標を達成する時に重要なことは、まずは組織の一員として機能すること。小学 校で習ったように,協調性を身につけることではないだろうか。

組織では、すべては上司に最終決定権があるわけで、それが嫌だったら、組織を抜 けるか,もしくは自分が実績を作って上司より上のポジションに行くしかないのだと 思う。結局、組織に属する人間にとって大事なことは、自分に与えられた役割をしっかり と果たすことなのだ。

 サッカー、特に代表チームの場合は分かりやすい, 代表に選ばれるのは、決して日本選手のトップ11人ではない。チームが目指す目標を踏まえたうえで、監督が11人を選びピッチに送り出す。リーダーが勝つためのブラ ンを立てている中で、戦術が間違っているとか、やり方を変えた方がいいということ は言うべきではないと思う。

南アフリカワールドカップの時も、大会直前の戦術変更やキャプテン交代に戸惑った けれど、そこで自分が不満を見せれば、組織は成り立っていなかったはずだ。

  自分の好き嫌いは関係ない。  やり方が気に食わなくてふんぞり返っても、何も変わらないし 結果だってついてこないだろう。

 だから僕は、趙雲のように死ぬかもしれない極限状態であっても、 自己犠牲の精神で戦い抜ける人に憧れる。 文句を言う前に、やりきること。 それが、僕にとって、最高にかっこいい男なのだ。

 偉そうなことを言ってしまったけれど、若い人たちにこれだけは言いたい。

まずは「はい、分かりました」と言える人間になってみよう。 それは決して盲目的に従うことではない。 意識してやっていけば、絶対に将来大きな夢を実現するための礎となるはずだ。

 

 

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よく遊びで「はい」か「イエス」で返事しろと言いますが、

長田自身も極力そうしています。何事も経験であり、

自分のしたくないことをすることによって新たな知識知恵が入ってくるからです。

 

 

 

 

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