文武一道α

 「文武両道」という言葉は勉強とクラブ活動を両立させる時によく用いる言葉だ。確かに片方に偏りすぎずに両方をきちんとこなしてほしいと私も思っている。しかし、私はそれ以上に“文武一道”という言葉が好きだ。

“文武一道”とは柔道家の三船十段が作った言葉だといわれ、要は「学問も武道も上達するための方法は同じ道のり」だということである。

私がこの言葉に同感したのは2007年度であった。その年の柔道部は大躍進だった。たけしは個人戦で都大会3位に入賞。りえも個人戦都大会で準優勝、団体では関東大会に出場を果たした代であった。この偉業を達成した生徒は、全員駒込中学に入学してから柔道を始めた生徒ばかりである。入った当初は皆身体の線が細く、「いつまで続くかな?」と思っていた生徒ばかりであった。

何故このような素晴らしい結果を残せたのかいろいろと考えてでてきたのが、“この学年の生徒は成績も優秀”だということだ。簡単に言えば、先生・コーチの指導に素直に耳を傾け、地道な努力ができる能力を持ち合わせているということだ。この学年の生徒の評定平均はりえの4.5を筆頭にほとんどが4以上だった。

これは学業で成績を向上させる上でも必要な素質である。楽修でインプットとアウトプットのバランスの話をするが、ただシュート練習や実戦を積む(アウトプット)だけでなく、フォームを確認することや試合を見直す(インプット)ことも大切である。

そう思いながら指導を続けてきた次に結果を出した2012年度も文武一道の学年だった。男子はしょうたろうが55キロ級で都大会3位入賞。女子はともみの怪我で関東大会にはいけなかったが、間違いなく実際に出場した7校目と互角の力を有していた。この二人の活躍もあって、2011年度は全ての大会で誰かが都大会ベスト8に入賞した。そしてこの学年、れいかの評定平均4.9を筆頭に、やはり男女とも評定平均は4を超えていた。柔道の成績と学力は比例するのである。少なくとも駒込においては。

文武両道を目指す生徒には是非、文武一道を意識して、その目標を達成させてほしい。そして楽修方法で悩むときはクラブ活動のときのことを思い出してほしい。それを楽修に置き換えて行えばきっと結果が伴ってくるはずだ。

逆に言うと、楽修面でなにか躓くようなことがあれば、習い事を含め、日常生活を見直すと良いだろう。きっと何かが発見できる。少なくとも長田はそういった指導を心掛けているし、それで結構上手くいくようになった。

 

コメントは停止中ですが、トラックバックとピンバックは受け付けています。