幸せのために夢を諦める。

諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉

諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉

  • 作者: 為末 大
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2013/05/30
  • メディア: 単行本

前向きに「諦める」ことから、自分らしい人生が開けてくる――。

「夢はかなう」「可能性は無限」という言葉に勇気をもらう人もいれば、とことん苦しめられる人もいる。結果が出なくてもやり続ける、やめないでがんばることも尊いことだが、それ自体が目的化してしまうと、自分というかぎりある存在の可能性を狭めることにもなりかねない。

諦めるということは、そこで「終わる」とか「逃げる」ということではない。与えられた現実を直視し、限られた人生を思い切り生きるために、自分にとってベターな選択を重ねていくこと、これが「諦める」ことの本質である。何かを諦めながら何かを選び取る。その繰り返しの上に「自分らしさ」が生まれてくる。(アマゾン様の文章をコピペ)

 

この本において著者は「諦める」の語源は「明らめる」であり、自分の能力や限界が理解できて新しい道に進むことは決して悪いことではないと言っている。

 

著者自身も世界選手権の400m障害において銅メダルを獲得した優秀なアスリートであるが、元々は100m、200mの選手であり、中学生まで向かうところ敵なしであった。しかし、年齢が経つにつれて自分の能力の限界を知り、一番を目指すために種目を変更した。

 

これは、夢を諦めた格好悪い男なのだろうか。決してそんなことはない。自分の能力を明らめた上での勇気ある決断である。

 

長田も学校の先生として「夢のために頑張れ!」とか「諦めなければ夢は叶う」と声を大にして言っているが、それが全員にとっての正解ではないことを理解している。

 

たとえばクラス編成などで、上のクラスにどうしても行きたい人もいれば、下のクラスに入りたい人もいる。それは自分の性格などを考えた上での決断だと思う。

 

何が言いたいかというと、幸せを求めるために夢を追い続けるのは好ましいが、夢を追い求めすぎるあまりに自分を不幸にしてはいけない、ということだ。もちろん、あと一歩という場合もあるだろうが、できうるならば

 

彼を知り己を知らば百戦危うからず

 

のように、求めているものと、自分の能力を、きちんと計測して、届いていない距離を埋めるための努力をすることができるか、そのために時間を費やす覚悟があるのか、ライバルを蹴散らす根性があるのか、それを明らかにする必要がある。

 

もしも、実は「夢を叶える」ための努力が辛いと感じているなら、それを止める決断も辛いかもしれないが、勇気を持って一歩踏み出してほしい。大丈夫。後戻りのように感じるかもしれないが、そこでの経験は次に絶対に活きる。

 

「少し止まる」と書いて「歩く」と書くが、夢のために突っ走って、実は息切れしていたりする人は、ちょっと歩いて周りを見渡してみよう。綺麗な花が咲いていたり、実は近道を見逃していたりするかもしれない。もしかしたら間違った道を進んでいたかもしれない。

 

後ろを振り返ったっていいんだよ。もしも誰もついてきていないなら、周りが到着するまで待っていてもいいんだよ。一人で先に進んでもつまらないぞ。

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