熱い後輩

梶間先生はいい後輩なのだが、どちらかというとクールである。もしかしたら授業中は熱いかもしれないが、心の中はいたってクールである。しかし、椎名先生はホットだ。もしかしたら、授業中はクールかもしれないが、彼は芯が燃え滾っている。

3年前初めて同じ学年に所属したのだが、とにかく暑い。なんというか蒸し暑い。昨年度の会議で長田が行っている指導法を伝授した。しかし、伝授したと言っても、やはり勉強の仕方同様に教え方もひとそれぞれで、言われてもなかなか同じようにはできない。というか、ほとんどの人は真似しない。なんだかんだで独自の道を歩む。しかし、彼は違う。学ぶは真似るというが、すぐに真似をした。そして、いろいろと質問をしてきてまとわりついてくる。本当に彼は暑い後輩だ。

また、彼はラグビー部の顧問として部員に競技を通じて人格を磨こうとする、とても篤い先生である。厳しいことも言うが、それは将来を見据えた上であり、「今」だけを見てはいけないということを訴えているのだ。その生徒への愛情の深さは駒込でも屈指のレベルである。おそらく椎名先生は社会にでたときのことをイメージして、今、何をすべきかを語っている。決して大学受験という短期目標ではない。

椎名先生のよさはなんといっても人と人との繋がりを大切にしているところだろう。今年の高3の駒中生を中1のときに担任したというのもあるが、保護者からの人気が非常に高い。そしてエンターテイナーである。今年も学年の絆を深めようと色々なイベントを開催してくれている。きっと授業でも皆を生物の世界に引きずり込もうと色々なネタを用意していることだろう。椎名先生の人望の厚さはそんな日常の細やかな心がけによるものがあるのだと長田は考える。

まぁ、1つだけどうでもいいことを言うと、長田と椎名クラスの距離はなぜか遠い。3年前から4年連続同じ学年だが、今年ようやく椎名クラスを担当した。昨年も一昨年も、その前も何故か椎名先生が理系クラスであっても授業を担当しない。3年前は、高2で理系クラス4クラス中、3クラスを受け持ったが、何故か椎名クラスだけ担当しなかった。

きっと長田と椎名を混ぜ合わせると熱すぎて生徒が火傷してしまうと上の人たちが判断したのだろう。いや、長田クラスを椎名先生を担当しているのだからそれは違うか・・・。

長田もどちらかというと熱い、いや暑い教師だが、椎名先生の暑さには、いや熱さには勝てない。

いや、長田が最近年を重ねて動きが重くなっただけかもしれない・・・。あの軽快なフットワークを見習いたい。

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