魔法のコンパス。その1

食で身体に栄養を!

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ということで長田が好きな本の好きなコラムを紹介します。
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今回はコチラ。

 

魔法のコンパス 道なき道の歩き方

魔法のコンパス 道なき道の歩き方

  • 作者: 西野 亮廣
  • 出版社/メーカー: 主婦と生活社
  • 発売日: 2016/08/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

ハロウィンのゴミ問題を

“遊び”で解決しちゃった。

 

インスタグラムなどの写真特化型のSNSの盛り上がりも手伝って、猛スピードで日本に定着したハロウィンパーティーという名の大コスプレ大会。

 

こうなってくると、本音は「ただはしゃいでいる奴らがむかつく」のクセに、「ハロウィンというのは、そもそも収穫祭であり、大人がコスプレをするような・・・」とウィキペディアで調べたような浅い知識でもって、苦言を呈する正論ジジイが必ず大量発生する。

 

「そもそも論」を言っちゃうと、日本の祭りなんて、ほとんど中国から来たもので、それを日本仕様にカスタム下のが未だ。節分や七夕なんかも、もともとは中国の習俗だ。ウィキペディアで調べたので間違いない。

 

日本は神も仏もいるウェルカム国家であり、節操などなく、クリスマスは恋人達の祭典で、ハロウィンはコスプレ大会でいいじゃないか。ジジイの小言は適当に蓋をして、日本のハロウィンはコスプレ大会として、どんどん盛り上がっていけばいい。

 

ただ、祭りには必ずゴミの問題が付いて回る。

事実2014年のハロウィン翌朝の渋谷は最悪だった。

 

ハロウィンパーティーで渋谷に集まった人々が捨てたゴミで地獄的に汚れてしまった街は、新聞に取り上げられ、ワイドショーに取り上げられ、SNSで拡散され、そのネガティブニュースは、ついに海外にまで飛んでいってしまった。

 

テレビをつければ、コメンテーターがこぞって、「ゴミは自分で持ち帰れ」だの、「モラルが欠落している」だの、まぁ、やいのやいの言ったが、このごみ問題はヨットの理論でいうとモーレツな向かい風。

 

ここまでの強風を消してしまうのは賢くない。

上手く消せても元の場所に戻る毛だけで、前進はしない。

 

ゴミが出てしまうなら、ハロウィン当日に「ゴミを出すな」と力で押し戻すのではなく、ゴミが出ることを逆手にとって、ハロウィン翌朝に“ゴミがないと成立しないイベント”を新しく作っちゃえばいい。ゴミがあればあるほど、盛り上がるイベントを。

 

 

ハロウィンの夜に街を徘徊するのはオバケだ。そのオバケがバカみたいな量のゴミを残していく。このオバケの残骸を退治するのは彼らしかいない。オバケ退治のプロ集団「ゴーストバスターズ」である。

 

というわけで、「ハロウィンの翌朝6時に、ゴーストバスターズのコスプレをして、ハチ公前に集合。ゴミ拾いをしようぜ」とツイッターで呼びかけてみた。

 

ハロウィン当日はちょうど、毎年12万人以上を動員する「東京デザインウィーク」という国内最大級のクリエイティブフェスの期間中だったので、理事の権力をフルに利用して(そう。実は俺、理事!)集めたゴミを『東京デザインウィーク』の会場に運び、そのゴミを使って、巨大なトラッシュアート「ゴミの木」を作ることにした。

 

お年どころをアート作品にすることで、「ゴミ拾い」から「アート作品の材料集め」に目的が変わる。つまり、ボランティアで“良いこと”をするわけではなくて、、“遊んだ結果、良い事になっちゃっていた”という流れ。

 

そして何年後になるかわからないけど、毎年作っている「ゴミの木」がいつか、「今年は材料が足りなかったので、木が枯れている」となれば物語として素晴らしい。

 

 

「渋谷ハロウィンゴーストバスターズ」と銘打ったこのイベントはとんとん拍子に話が進み、ゴミを拾う500人のボランティアスタッフと、拾ったゴミでトラッシュアートを作る100人のボランティアスタッフは一瞬で定員に達した。

 

渋谷区の全面協力を得たほか、東急電鉄さん、西武でパートさん、ボランティアスタッフがゴミを入れるトートバッグ(ゴーストバスターズのロゴ入り)500個を提供してくださったROOTOTEさんや、背中に背負う用の掃除機を提供してくださったダイソンさん、さらに本家「ゴーストバスターズ」のソニー・ピクチャーズさんなど、本当にたくさんの方々の援護射撃の下、総勢700人による渋谷大掃除がハロウィンの翌朝に敢行されることとなった。

 

しかし、ここで黙っていなかったのが“アンチ西野”の2ちゃんねらーの皆さん。「西野のイベントを邪魔してやろうぜ」と我々本隊が集合する2時間前に渋谷の街に集まり、「西野の邪魔をしてやれ!うりゃー!」とゴミを拾ったのである。

 

最高すぎる。

おかげでずいぶん助かった。

 

老若男女(ときどき2ちゃんねらー)総勢数百人のゴーストバスターズがゲラゲラと笑いながらゴミ拾い。大きなマントのゴミを拾った子どもは「やった!これは使える」と雄叫びをあげ、3階続けてタバコのゴミを拾った親父は「もっと大味のゴミないのかよ!」と悔しがり、皆から笑われる。

なんとも痛快な朝だった。

 

一番嬉しかったのは、2015年の年末に聞いた、「今年渋谷が一番きれいだったのは、ハロウィンの翌朝でした」という報せ。街を汚すハロウィンがあったから、街をきれいにすることができたのだ。向かい風は消さずに使っちゃったほうがいい。

 

 

 

 

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