白洲次郎。2

食で身体に栄養を!

本で心に栄養を!与えよう!

ということで長田が好きな本の好きなコラムを紹介します。
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白洲次郎 一流の条件

白洲次郎 一流の条件

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2016/10/07
  • メディア: 単行本

僕はねぇ、

口が堅いからここまで

生きてこられたんだ。

 

あるとき、妻の正子が「後々の日本のために、次郎さんしか知らない体験を、誰かに書き残させたほうが良いんじゃないの?」と話しかけたことがあった。そのとき、次郎は一瞬なるほどという表情を浮かべたが、すぐにこう言ったという。

 

「やっぱりやめた。初戦歴史というのは、今生きている人が自分の都合の言いように解釈して利用するものだ。第一、俺が今喋ったら困る人がまだ大勢生きている。」

 

終戦直後、終戦連絡中央事務局参与としてのGHQとの立ち回りから、後の吉田茂の密使としての外交まで、有る意味、政治の表も裏も知り尽くした次郎である。安易に語れることなどなかっただろう。また、戦後処理にあたっていた当時、次郎は「昭和のラスプーチン」「吉田の黒幕」などと、連日根も葉もない叩かれ方を経験している。それを通して、事実は必ずしも事実として語られず、「有ること無いこと色々尾ひれをつけて」一人歩きをするということもよく分かっていた。自らが語ることの影響力の大きさについては言うまでもないだろう。

 

 

こんな逸話もある。ある晩、鶴川の白洲邸で食後のウイスキーを飲んでいると、突然ベテラン風の新聞記者が戸口を叩いた。有る会社の再建計画に、次郎が極秘裏に動いていることを嗅ぎつけてきたのだ。

 

「僕は何も知らんよ。知っていたとしても何も喋らんよ。僕はねぇ、口が堅いからここまで生きてこられたんだ。」と平然と答える次郎に、記者は「失礼しました」と頭を下げ、それ以上の追及を諦め、潔く帰っていったという。語るべきことと語らざるべきこと。その峻別を知る、男同士の話ではあるまいか。

 

晩年、大量の書類を庭の焼却炉の火にくべて燃やしている次郎に、長女の桂子が「何を燃やしているの?」と尋ねると、「こういうものは墓場まで持っていくものなのさ」と答えたという。自らの自慢も、自己弁護も一切せず、黙して去る。白洲次郎という男の生き方である。

 

 

長田

いやぁ、長田の真逆をいく人ですね。格好いいね~。

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