食で身体に栄養を!
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- 作者: 田村 淳
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/02/17
- メディア: 新書
侍ハードラー為末大誕生の秘密
大人たちの見守る視線で思い出すのは、さっきのオリンピックの話じゃないけども、男子400mハードルでシドニー、アテネ、北京と3大会連続でオリンピックに出場した為末大さんの話だ。あるインタビューで為末さんは、こんなふうに言っていた。
「私も陸上を始めた頃は、100m走でオリンピックを目指していたんです。でも100m走は陸上の一番の花形で、足が速ければ誰もが参加したくなる。目立ちますからね。その分、競技人口が多すぎて、日本人の場合はそれこそ紙に選ばれた人間しか残れない。私も学生の頃に、だんだんと自分の才能に疑問を持つようになったんですよ。どう頑張ってもどんなに努力してもタイムが伸びない。当然、記録会に出場しても勝てない。
あの頃は悩んでばかりしたし、才能の無さに自分であきれ果て、そのせいでストレスを抱え込み、一時期は体調を崩したくらいなんですね。それがあるとき、大学の陸上部のコーチが『お前の走るスライドの感覚はハードルにうってつけだから、転向してみないか』と助言してくらたんですよ。
それからですよ、パッと視界が開けたのは。しかも、ハードルって人気が無いんです。足がひっかかって転ぶと痛いですし(笑)他の人があまりやらない不人気の種目でしたから、いきなりトップに出られて勝てて、その繰り返しで自分に自信を持てるようになったんですよ。
だから、当時のコーチに感謝しかないです。そっちは人気で人が押し寄せているから、チャンスが少ないぞ、だったら、こっちに来なさい、と導いてくれましたし、しかも、ちゃんと私の練習を見守ってくれていて、ハードル層に合うと的確な判断もしてくれましたしね。コーチがアドバイスをしてくれなかったら、私はとっくに陸上を辞めていたでしょう。3大会連続でオリンピックに出場できていません。
私もこれから指導者として、若い連中にいろんな道があるんだよ、こっちの道もあるし、あっちの道もある。キミの前にはいろんな道があるんだよって、たくさんの可能性を見せてあげられたらいいですよね。」
うん、そういうことなんだと思う。
でも、世の中には為末さんを見守り続け、適切な判断を下せた指導者のような人ばかりじゃないんだよな。というのも、現場の先生達の劣化が激しすぎるからだ。子供たちを見守るより先に、自分が教師として、子ども達と、どのように対峙してよいのか迷っているばかりなのが現実みたいだし。
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