日本人失格。4

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日本人失格 (集英社新書)

日本人失格 (集英社新書)

  • 作者: 田村 淳
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/02/17
  • メディア: 新書

漫画家・藤子不二雄A先生のアドバイス

 前に漫画家の藤子不二雄A先生が、雑誌のインタビューなどで、このようなことを言っていた。

「人間は【多面体】に生きなきゃダメですよ。【多面体】な人間ほど魅力的なんです。自分がひとつ、一面体なんてありえないじゃないですか。喜怒哀楽じゃないけど、そのときどきで喜んでいる自分も怒っている自分もいる。正義感のある自分もいれば、チョイ悪の自分もいたりする。でも、大事なことは素の自分がそれぞれの自分を意識し、うまく活用していくことなんです。

例えば、誰かと喧嘩しそうになったとき、ひとりの自分で対応してしまうとモロに殴りあう可能性が高くなる。だけれども、怒った自分と冷静な自分と計算高い自分が、自身の中で話し合いのテーブルに着き、あれこれと論議すればするほど、その場での的確な判断が下しやすくなる。

もしかした、3人の自分が出した結論により、目の前の宿敵とも笑って握手ができ、障害の良きパートナーとなりえる可能性さえ出てくる。そうやって生きていくと実に人生は楽しくなる。

僕もそうやって、ムカついた野郎と向かい合ったときは、何人ものいろんな要素を持った自分を総動員させ、より良い答えを探すようにしている。結果、ムカついた野郎なのに、翌日は一緒にゴルフに行ったりなんかしてね。

そういう点では、今の若者は怠け者が多いと思う。自分野中にいるはずのいくつかの自分を意識することなく、話し合うこともせずに、一面体で短絡的に感情に任せたままの意見を押し通そうとする。

だから、人と人との間で亀裂が起きる、摩擦も起きる。その結果、この社会はいつもギスギスしている。」

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