1400年の伝統

6~0日は本のコラム紹介ですが、

今回と次回は比叡山特集とします。

 

今回は1年10組で行なった比叡山研修の事前楽修で書かせたコラムでも。

 

まずは長田が書いたコラムから

 

1400年の伝統

 

現存している会社の中で世界最古の会社はどこにあるのだろうか。そしてそれはいつから続いているのだろうか。実は日本にある。名は金剛組。四天王寺を建てたのが仕事始めであったとされる。

 

そもそも四天王寺は厩戸王(聖徳太子)が物部氏との争での勝利を祈願したことをきっかけに創建され、記録に残る寺院としては飛鳥寺と並び最古である。厩戸王ゆかりの品も多く、没後鎮魂のために創建された聖霊院や聖徳太子摂政像などがある。四天王寺南大門から入ってすぐの中心伽藍の北、石舞台正面に六時礼賛堂が建てられていて、最初の様式は天台宗の開祖最澄が比叡山の根本中堂を模して創建したと伝えられている。

 

同時期に建立された法隆寺が原形をほぼ留めているのに対し、四天王寺は織田信長の焼き討ちや大阪冬の陣といった大きな戦災などで7度焼失・再建を繰り返している。その焼失のたびに歴代の金剛家が再建に取り組んだのだ。

 

それにしても創業から1400年余り、今までよく続いてきたものだ。過去に何度か廃業の危機にあった。一番辛かったのが明治維新のとき、廃仏毀釈が猛威を振るい、四天王寺から寺領を奪って金剛組の食い扶持がなくなってしまった。最近も倒産の危機に陥ったが、ある建設会社が救ってくれた。助けてくれるのは世界最古の会社を潰してはいけないという想いを持った周囲の義理と人情である。

 

日本は島国で植民地になったことがない数少ない国である。また現存している老舗企業の多くは商業ではなく製造業である。他国からの侵略がなく、手工業などの伝統工芸が発達していた日本は本当に素晴らしい国である。次に京都に行く機会があれば金剛組と四天王寺を必ず訪ねたい。

 

参考文献:「小学館 ウィークリーブック 古寺を巡る 25 四天王寺」

「千年、働いてきました」(角川ONEテーマ21、著:野村進)

コメントは停止中ですが、トラックバックとピンバックは受け付けています。