批判は感謝に勝てない。

9月23日。駒込の卒業生と5人出会った。

長田はたまに卒業生のコラムを書くのだが、
5人とも書いたことがあった。いやぁ~奇蹟だね。

 

ということで以前書いたコラムを加筆修正しながら
紹介文を掲載する。

 

今回は「あかり」。

 

長田の知る限り、駒込で初めて
文系の国立大学を一般入試で現役合格したOG
(推薦入試や、浪人してからなら、それ以前にもいた。)

 

そのあかりと長田の国立大学に入学するまでの奮闘記です。

 

 

批判は感謝に勝てない

 「あかり」は駒込に入ったときから国語の能力が非常に高かった。しかし、数学は全くセンスのカケラも感じられず、まぁ文系に進むものだと思っていた。実際に2年次は文系に進んだのだが、国公立志望で数学を受験に用いるとのことだった。

長田は担任や本人に「あかりの数学の出来なさはハンパじゃないから国公立は絶対に無理!!」と言った。もちろん、そんなことを私が言うまでもなく、担任やあかり本人も承知の上だが、家計的にも絶対に国立以外にはいかないという断固たる決意だった。

長田にとって高2での「あかり」への指導は、いかに国立をやめさせて私立にシフトさせるかだった。「あかり」は理系科目は苦手だったが、国語を筆頭に英語も良く、社会は普通だったがこのままいけばGMARCHには間違いなく入れるだろうと思ったし、性格的にものんびり屋だったので、早く私立型に専念させたほうがいいだろうと思っていた。これは私だけでなく「あかり」に関わる全ての教員の思いであったと思う。

 

 

だからこそ、数学の成績が思うように上がらないときを見計らって「私立にしたら」、「なんでこんな問題も解けないんだ!もうお前には国立無理!」などと言い続けた。怒ることによって「頑張らなきゃ」と思わせるのが目的だったが特に成績が伸びることもなかったし、その兆しを感じることはなかった。

 

 

「あかり」は本当にマイペースで、上のような説教に対して凹むことなく(いや、実際には凹んでいたらしいのだが、)
「長田先生、私のこと心配してくれて、嬉しいです。」
「応援してくれて、有難うございます。」

 

 

といった感謝の言葉を述べてくるのだから、こちらの気持ちも薄らいできてしまう。

 

ということで長田は高校2年のときは1年間ずっと「「あかり」には無理だ」と言い続けたが、3年次には長田が根負けして、

「もう、『国立は無理』だとか二度と言わない。
一緒にどうやって国立に入れるか考えよう」

と「あかり」に伝えた。

 

実際高3になってからも志望校はずっとE判定で合格可能性で20%未満だった。その結果を見て多くの先生が「私立にシフトさせよう」と画策していたが、長田はとにかく色々と合格できる方法を考えていた。

 

最終的には地方も厭わないということで、両親の実家がある新潟を抑えにして、あくまで東京の国公立に進学するために頑張った。

「あかり」が「もしかしたら国立合格するかも?」と思うようになったのは受験直前の12月になってからである。ようやく模試でD判定がでるようになり、二次試験で挽回できそうな気配が漂ってきた。もとから国語は出来る生徒なので、二次試験で挽回するのも計画の1つだった。

 

 

そんな正月明けの講習で、年末に宿題とした数学過去問をまったくやってこないで、英語と国語に絞って勉強したことが発覚した。センター試験10日前ぐらいだが激しく叱責した。彼女もものすごく泣いていた。だけど、これは長田的には「それじゃ、国立受からないぞ!」というゲキだった。あれは色々な意味で効いたと思う。センター試験までの10日間、懸命に頑張りモチベーションも上がり、なんとかなりそうな状態に仕上がった。

 

 

試験本番「あかり」がとった数学の点数は200点満点で75点ぐらい。40%弱である。国公立に受かるにはトータルで70%ぐらい取らなければならない。しかし「あかり」はトータルで67%を獲得した。数学の分を他の科目でカバーしたのだ。

 

 

その後、学科さえ選ばなければ東京に残れる成績だったのだが、やはり文学や法学を学びたいということで新潟大学を受験し、見事合格した。

 

 

「あかり」から学んだこと。それは無理だと決め付けずに諦めなければ、もちろんそのための努力を継続することも必須だが、夢は実現できるということだ。

 

もう1つ「あかり」が教えてくれたこと、それは

 

「批判は感謝に勝てない」

 

 

ということだ。正直、長田は口げんかなどでは負けることが少ない。しかし、「あかり」との受験では完全に負けた。もう「とにかく応援しよう」という気持ちになった。

長田は最近(これでも)怒らないようになった。それは「なんでそんなことするんだ!?」「そんなんじゃ無理だ」という言葉を「~しないと無理だよ」という目標設定と、相手の意見を聞いて向きを変えることを中心とした指導を心掛けているからに他ならない。そして言葉に「情熱を込める」ことによって相手のモチベーションを上げるように心掛けているからだ。

 

それは、「あかり」から教わったことでもある。

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