今月はこの本から!
リオデジャネイロ・オリンピック 勇気を与えてくれるメダリストの言葉
- 作者:
- 出版社/メーカー: ゴマブックス
- 発売日: 2016/10/10
- メディア: 単行本
こんなにも天井を見上げた五輪はない
伊調馨(レスリング女子フリースタイル58キロ級・金)
レスリング女子58キロ級の決勝が行われた8月17日、
この日、階級別の日本選手3人が決勝に進出し、48キロ級では、
第2ピリオドは攻め立てたものの、
数々の修羅場をくぐり抜けてきた伊調選手も、今回は予想外に苦戦を強いられた決勝でした。 試合終了のブザーを聞いた瞬間,安堵の表情を見せたのが印象的でした。インタビューで伊調選手は. 「相手がタックルに入ってきてくれたので、最後のチャンスだと思って、ここしかな と思って,取りにいったんですけど、取れて良かった」と見事な逆転を振り返りました。
2003年より世界選手権では負けなしでしたが、2016年1月のロシア大会では 2007年の不戦敗を除いて13年ぶりの黒星を喫しました。しかし、 リオ入りして14日に行わ れた会見では、伊調選手は「自分のレスリングを追求してきた結果なので, (負けたことは) 全く気にかけていない。今回はリオ五輪に向けて調整してきた。その中で敗戦が実ったといえ る試合ができれば」とコメント。この五輪では勝利にこだわる姿勢を示していました。
心に決めていたのは金メダルを天国の母に捧げること。伊調選手は2014年11月 に、最愛の母·トシさんを亡くしていました。65歳。肝っ玉母さんだった母·トシさん。 レスリングに関しては素人で、技術に口出しは一切しない。試合になると 絶対勝つ てこい と送り出してくれたそうです。高校から県外に出た伊調選手が盆や正月に帰 省すると、料理に腕を振るってくれたそうです。伊調選手は、自室に母の遺影を置き、 毎日「おはよう」「ただいま」と必ず語りかけていたとのことです。 試合前には、見ず顔を上げて「見ててね。いい試合をするから」と誓ってマットに上がって いました。
4連覇を達成した直後、マットを降りるとスタンドに降りてきた姉·千春さんに駆 け寄り握手。父と、母·トシさんの遺影を見て涙があふれました。「最後はお母さんが助けて くれたと思います」と涙声で話しました。 4度目のオリンピック表彰台で聞く君が代。顔を正面に向けると晴れやかな笑顔になったの が印象的でした。「初めて戦うのが恐かった」と打ち明けた五輪の戦いからようやく解放され た伊調選手でした。
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