関東大会出場を決めたときの話

今から12年前の2007年駒込高校柔道部は悲願である関東大会出場を果たした。その年の生徒に向けた年賀状にも「今年は関東大会に行く年だ」と書いて有言実行した。しかし、女子団体で出場を果たすとは、そのときは夢にも思わなかった。

 

というのも前年まで関東大会の柔道種目は男子団体、男子個人無差別、女子個人階級別で、この年から女子団体が突然加わったのだ。4月の総会のときに、当時ふかがわ高校の顧問だったW林先生に、「駒込、関東行けるんじゃないの?」と言われて初めて女子団体の存在を知った。

 

 

出場枠はなんと7校。駒込女子は7番手~10番手くらいで十分に可能性があった。(S徳・T京・F村女子・S谷教育S谷・N大三・K場の6校はレベルが違います。)しかも都大会のシード方法も考慮すると、支部大会で優勝すれば、都大会でもベスト8のシード権を獲得して、かなりの確率で関東大会に行けると確信した。

 

しかし、駒込女子団体は前年度の支部大会において、全て決勝で敗れ、優勝するにはライバル校を倒さなければいけなかった。

 

そして支部大会当日、選手は練習の成果をいかんなく発揮してライバル校に初めて勝利して優勝した。これで関東大会への道が一気に拓けた。しかし、都大会に向けて練習に励んでいる最中、「あやか」が肩を脱臼してしまった。女子団体は3人制で駒込の女子部員は3人である。「りえ」と「ゆう」、2人で戦うということは、1人が負ければチームも敗戦ということであった。

 

GW中の決戦の日、駒込はベスト8まで勝ち進んだが、準々決勝と5,6位進出決定戦に敗れて、S大付属との関東大会出場決定戦に回った。(「あやか」は1回戦だけ出場させたが、やはり思うように試合ができず、2試合目からは応援にまわった)。

 

正直、対戦の運もあり、2人とも間違いなく勝てる相手であり、戦う前から「関東貰った!」と思っていた。そして試合開始。「ゆう」がガンガンと掛け続けて大外刈りで有効を奪取。「これで決まった!」と思ったら、すぐに有効を取り返された。
 

当たり前のことだが、向こうも必死だ。それこそ、中堅戦は「りえ」のほうが絶対に有利。大将は不戦なので要は先鋒戦で勝ったほうが関東大会出場なのだ。負けるわけがないと思いながらもハラハラしながら声援をおくった。そして試合がラスト1分に差し掛かったときにゆうが再度大外刈りで投げた。

 

一本勝ち!

関東が目の前に見えた!

 

しかし、油断は禁物。「りえ」に「お前が負けるとは思っていないけど、相手も必死だからな。きちんと2本組んでからかけろよ。」とアドバイスした。

 

 りえは大きく「はい!」と頷いたにも関わらず、審判の「はじめ!」が聞こえるや相手に近づき、右手で釣手を掴んだ瞬間、左の一本背負いを繰り出した!

 

この瞬間は今でも脳裏に焼きついている。「りえ、やめてくれ!」と・・・苦笑

 

 

結局、この左の一本背負いで見事に一本を取り、関東大会出場を決めた。

 

最終的に関東大会に出場できたのは女子団体だけで、当初目標にしていた男子団体、女子個人は残念な結果に終わった。(女子はりえが都でベスト8。男子団体は支部で足立に0-3だったが何かを起こせそうなチームだった。GW中の「こうへい」の靭帯断裂は本当に痛かった・・・。)

 

当時を振り返ると本当に運が良かった。突然の女子団体の新設、しかも東京からは7校の出場枠である。さらに言うと翌年から修徳女子が創部。本当にラッキーとしか言いようがない。

 

しかし、このラッキーは駒込だけの話ではない。全ての学校が駒込同様にチャンスだった。

 

そんな中、駒込が最後の切符を掴めたのは関東大会出場に向けて必死に、少なくとも出場できなかった学校よりも頑張ったからだと信じている。だからこそ支部大会で初優勝を果たし、今迄に経験したことのない緊張感での最終決定戦で勝利できたのだ。
りえは駒込中学に入ってから柔道を始めた。都大会準優勝や3位に入っているが中学からの初心者である。あやかも駒込高校に入ってから柔道を始めた。1つ下の「ゆう」は経験者だが、1年生のときは怪我でほとんど練習していなかった。(弟の「じゅん」はS徳でインターハイ日本一だけどね。)スポーツ推薦をやっていなくても、関東大会に行けるということを示すことができた。

年を越して「りえ」達が卒業する直前に読んだ「人生が変わる習慣」という本で

「運が悪いと嘆く暇があるなら、もっと努力して運を引き寄せよ」

 

という言葉に出会った。その瞬間、今回の関東大会出場を決めるまでの出来事が走馬灯のように頭の中を駆け巡った。駒込柔道部は努力で関東大会出場を引き寄せた。何事も他人や用事、時間などに責任転嫁せず、努力を積み重ねれば夢は叶うのである。

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