冬。2

12月の6~0の日は卒業生のコラムでも。

今回のテーマは「冬」です。

冬支度(さとみ)

冬になると、秋に紅葉した葉っぱがいっせいに冷たい風にあおられ、木の枝から落ちていく。その当然である冬の景色は自分にとってとても重大なことなのである。
 
 我が家の庭には桜の木がふてぶてしく一本立っている。桜の木はうちの家が建つ前からそこに立っていて、父親がその木を気に入り、そこに家を建て、今は一緒に暮らしている。近所に昔から住んでいる人が引っ越して来る前からずっとあるというから今では年寄りの木なのだろう。そんな桜の木が最近保護樹林に選ばれ、今では立っているだけで年間5000円稼いでいる。
 
 そんな我が家の働き者の年寄り桜は、春には他の桜と同じように見事な花を咲かせ、夏には生い茂ったたくさんの葉っぱで適度な日陰を作ってくれ、秋には紅葉で通っていく人々が思わず木を見て季節を感じて、そして冬には落ち葉そうじという名のえげつないプレゼントを用意してくれる。
 
 毎年冬になると庭は落ち葉の海になってしまう。そうなる前に定期的にそうじをしなければ、気付いたときには車の窓は見えなくなり、自転車のかごには落ち葉クッションができてしまう。だからこの仕事は欠かすことができないのである。
 
 自分はこの仕事が好きではない。かといって嫌いでもない。冬になればこの仕事があると、習慣になってしまい、慣れてしまったのだ。また、音楽を聞きながら「今年は散るの早え~な」などと一人、独り言を言っているのが好きなのかもしれない。

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