褒められて満足

長田は理系クラスの担任をしているので、将来医者になりたい、という生徒を受け持つことが多い。そんな医学部進学を希望する生徒の半分くらいは全然勉強しない。

私立ならまぁ、ある程度偏差値取れれば、合格できなくもないが、お金が非常にかかる。だから普通の家庭の場合「学費払えないから国立を目指して!」と言われる。そのため河合模試などで偏差値70以上が要求されるのだが、生徒はピンときていない。

長田は「おまえ、国立医学部目指すっていうのは、東大目指すのと同じだぞ。その勉強で東大に入れると思うか?」と分かり易い対象物を示して、再考させる。ただ、それでも勉強せずに「頑張ります」という生徒も結構いる。

「国立医学部を目指している」自分に酔っているんだろうね。きっと周囲からも「おっ、すごいの目指しているんだな。頑張れよ!」と褒められるからね。だけど、それは医学部が凄いところだということであって、本人が褒められているわけではないんだよね。

高校生で「将来プロ野球選手を目指す」って口にできるので、甲子園常連のような学校のレギュラーぐらいであって、普通の学校の選手がいっても全然褒めてもらえないよね。

別に目指すのは自由だし、担任としては応援したいけど、それに見合った努力をしていないと、「褒められて満足しているのかな?」って思ってしまう。

褒めるのはいいんだけど、現実も理解させないといけないよね。

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