やる気スイッチ

よく、3者面談や懇親会で保護者から「うちの子のやる気スイッチはどこにあるんでしょうか?先生、押してください」と(たぶん冗談で)頼まれる。実際のところ、やる気スイッチはどこにあるのだろうか。

 

 

まず、「やる気がある」の反対である「やる気が無い」から考える。「やる」というのは、「行動する」ことなので、「行動する気が無い」ということになる。つまり「無気力」だ。無気力の理由、色々な解釈があると思うが、ここでは「やったって意味がない」、「どうせ、失敗するから」、「このままで十分に満足している」ということにしておく。そう考えると「無気力」の反対である「やる気」が何なのかが見えてくる。

 

 

「やる気」は「勇気」だ。

 

 

クラブ活動に例えるのが分かりやすい。練習って辛いんだ。失敗したら先生から叱られたり、仲間から冷めた目で見られたりする。うまくいかなければ、たまには休みたいって思うようになる。それでも毎日頑張れるのは、上手くなりたい、試合に勝ちたい、仲間も頑張っているのに自分だけ休むなんて・・・、という気持ちで勇気を振り絞っているからなのだ。

 

やりたくないことや失敗する可能性があるものをするのには、勇気が必要だ。恋愛の告白なんかもやっぱり勇気が必要だよね。

 

こういう話をすると生徒から「先生、僕は志望校に合格したいと思っていますけど、なかなか勉強できないです。それも勇気なんですか?」と聞かれる。

 

それも勇気だ。どんな勇気かというと、今の生活を変えなければいけないことを恐れているのだ。1日24時間は誰にでも平等に与えられている。受験楽修の時間を作るということは、他の何かの時間を削らないといけない。その今までの習慣になった時間と受験楽修の時間を交換する勇気がないんだ。

 

定期試験前なら活動停止になっている部活動の時間や睡眠時間を削ればなんとか凌げるが、受験楽修となると、YouTubeやTwitter、Instagramなどスマホの時間。お笑い番組、ドラマなどのTVの時間を削らないと志望校合格は叶わない。それらの娯楽の時間を削る勇気がないのだ。

 

さて、やる気スイッチの場所だが、勇気なので間違いなく心の中にある。ただ、周囲の人がやる気スイッチは押そうとしてはいけない。押すと心の中にどんどん埋もれるのだ。やる気スイッチは引き出すか掘り起こすタイプだからだ。

 

よく、「愛はお金で買えない」と言うが、勇気もお金で買えない。お金をもらえるから頑張るということはあっても、「お金を出すから勇気を売ってください」なんてことはできない。何故なら勇気とはすでに心の内側に存在していて、あとは勇気を振り絞るだけだからだ。

 

では、どうやって勇気を振り絞る(引き出す)かというと、キーワードは「ワクワク」。皆は、「ワクワク」を漢字で書けるだろうか?私も調べたが、載っていなかったので、勝手にこじつけた。苦笑

 

「ワクワク」とは「湧く・沸くで湧き上がってくるものである。そうです、沸騰した液体が気体(期待)となって湧き上がってくる状況なのだ。そういう状態になるようにするこ とでやる気スイッチが入るのだ。

 

だから、受験楽修のやる気って、ワクワクするものではないといけない。「慶應大学に入って就職活動を楽にしたい」でも「東大に入って、みんなから尊敬の眼差しで見られたい」なんて心でもいいとだろう。純粋に興味有る学問を研究したい好奇心でも構わない。もちろん、みんな頑張っているから私も頑張ろうでもいいと思う。あんまり良くないと思うが、御褒美がもらえないと勇気を出せないなら、親に相談するのもありだろう。

 

やる気は勇気。勇気を振り絞って今の娯楽の時間と未来の受験楽修の時間を交換して自分の夢を叶えるためにワクワクしながら頑張ろう。

 

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このコラム、今年の学年通信に書いたものをちょっと変えたものなんですが、これを書き終えてから、「あっ、『湧』の中に『勇』がある!」ということに気づきました。

 

やっぱり、勇気は湧くものなので、保護者の皆さんは押し過ぎに注意してください。蓋をしたら湧き上がりません。

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