田中角栄新名語録。2

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新 田中角栄名語録

新 田中角栄名語録

  • 作者: 小林吉弥
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2020/10/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

私から出ているカネだとは、

口が腐っても本人に言ってはならない。

戦後まもなくから田中角栄が<旧新潟3区>の選挙でしのぎを削ったのが、社会党の三宅正一(のちの衆院副議長)であった。田中と三宅は保守・革新と立場は違っても、ともに新潟の豪雪苦や開発の遅れなどからの脱却に、お互いの熱い血をたぎらせてきたものだ。言わば同じ郷土愛を持った戦友であり、互いにどこかで心を許し合い、畏敬の念も抱いていた。その三宅は昭和55年のの総選挙で落選、それを機に政界から引退した。

 

棚岡の凄さがここで出た。落選議員は家の子郎党の面倒も見なくてはならずで、生活は厳しいものである。これを見た田中は、なんと三宅のもとに毎月20万円を送り続けたのだった。しかし、絶妙の気配りはここからである。

 

そのあたりの事情を知る人物の証言がある。「田中は三宅本人には送らず、近い人にこう厳命した上で送った。『このカネが私から出ているとは、口が腐っても本人に言ってはならない』と。三宅さんのプライドを慮ったということだった。結局、このことを三宅さんは亡くなるまで知らないでいた。しかし、人の口に子は立てられずで、やがてこの話が漏れ、『田中はなかなかの男だ』という声が三宅さんを中心とする社会党支持者の間に伝わっていいたのです。」

 

この気配りは、田中が選挙で一番苦しかったと言われたロッキード選挙で開花することとなった。田中はこの選挙で『落選もあり得る』とのメディア報道を一蹴、実に前代未聞の22万票を獲得した。『社会党支持者の票がかなり回った』(新潟の地元記者)との見方があったのだった。

 

カネというものは「諸刃の剣」。上手に使えば自分の栄養になるが、下手な使い方をすれば人品が卑しくなって評判を落とすのだということを知りたい。

 

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