田中角栄新名語録。５

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「ご苦労さん」の一言。

当然のことじゃないか。

 

警視庁麹町署の大きな任務の１つに、首相官邸の警護がある。かつでの署員の1人がこう言っていた。

「麹町署員は歴代の首相を見てきていますが、これまで言い伝えられている人も含めて、ダントツ田中角栄さんの人気が一番だった。他の首相は、夕方に官邸を出ていくとき、出入り口の署員ボックスに向かってちょっと手を挙げるしぐさはするんですが、田中さんのは心が籠っていた。わざわざ自分で車の窓を開け、例の片手を上げたポーズで、必ず『ご苦労さん』と声をかけてくれる。『田中さんのためなら、もし何かあった時は自分はいつでも生命を投げ出せる』と言っていた署員は少なくなかった」

 

田中派担当記者がのちに「なぜ『ご苦労さん』とまで言うのか」と供問をぶつけると、田中は「当たり前のことじゃないのかね」とサラリと言ったそうである。

 

人が動くということは、決して策術ばかりではないことを知るべしということだろう。