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- 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
- 発売日: 2020/10/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
勝負に対してがめつくいかしてもらった。
齋藤仁(柔道)
ソウル大会の日本柔道人は不振を極めた。最終日を前に6人を送り出し、金メダルなし。前回ロサンゼルス大会の金メダリストで最重量95kg超級の齋藤仁に、最後の望みが託された。ところが趙容徹(韓国)との準決勝で5分間フルに戦って判定勝ちをもぎ取った際に、古傷の右ひざ痛を再発させた齋藤。ヘンリー・ストール(東ドイツ)との決勝は自ら鍼を打って畳に上がった。
金メダルをかけた大一番は双方とも慎重になったのか、組み合ったまま、技がなかなかでなかった。1分26秒で両者に指導。軸足を痛めている齋藤は背負い投げで相手を崩し、寝技に持ち込もうとするのだが、長身で懐の深いストールに容易には通じず、時間が経っていく。
そして残り1分、技をかけないストールに警告が出され、そのまま時間切れとなる。齋藤は満身創痍の中の絶対に負けられない闘いで、「がめつく」勝つ柔道に徹した。
これは、まさに日本柔道の威信を守る勝利だった。
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