免疫力。その1

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免疫力 - 正しく知って、正しく整える - (ワニブックスPLUS新書)

免疫力 – 正しく知って、正しく整える – (ワニブックスPLUS新書)

  • 作者: 藤田 紘一郎
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2020/06/09
  • メディア: 新書

私たちは、強い免疫力をもって生まれてきた

劇的なスピードで世界に拡大した新型コロナウイルス。新たな病原体の猛威は、社会生活を一変させました。

とくに人は、ウイルスや細菌など「目に見えない敵」に不安を抱きやすい動物です。それは、私たち人類の進化史が、「たえず感染症とともにあったから」といえるでしょう。

 

人類が誕生したとされるのは約700年前。私たちと同じホモ・サピエンスが生まれたのは、約20年前。地球という難しい自然環境で生き抜く中で、原始的な暮らしをしていた人間の周りには、たくさんの恐ろしい病原体が存在していました。人間の身体は常に病原体からの攻撃を受け、多くの命が失われていったのです。

これは有史以来も同じです。新型コロナウイルス拡大の渦中、アルベール・カミュの小説「ペスト」が再び注目を集めました。ペストはペスト菌という細菌が起こす伝染病で、古来たびたびパンデミックを起こしています。

また、1918年のスペイン風邪、57年のアジア風邪、68年の香港風邪、そして記憶に鮮明な2009年の新型インフルエンザなどは、インフルエンザウイルスが次々にウイルスの形を変えながら、人類を襲ってきた歴史なのです。

 

日本でも、戦前まで、死因の6割は結核などの感染症でした。ところが現在は、がん・心疾患、脳血管疾患という三大疾病で亡くなる人が大半を占めていますし、最近は「老衰」が死因の3位にもなっています。私たちはどこかで、「自分は内臓の病気か、老衰で死ぬのだろう」と漠然と思っていたのだと思います。けれども、人類史で見れば人にとってもっとも身近な死とは、感染症による死なのです。

 

今回の新型コロナウイルスは、すっかり忘れていた感染症死による恐れを、私たちに鮮明に思い起こさせました。人類史上、幾度となく命を脅かされてきた「恐ろしい」という記憶が、今になって私たちの脳に「目に見えない敵に対する恐怖」を強く呼び覚まさせたのでしょう。

 

しかし一方では、現代に生きる私たちの身体には、大切なシステムが刻まれていることを、忘れてはいけないと思います。それを免疫といいます。

 

ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入してきたとき、それを排除し、生命を守ってきたのが、私たちの身体に備わった免疫システムなのです。

 

私たち現代人とは、度重なる病原体からの攻撃に負けず、命をつないできた祖先の生き残りです。病原性の高い微生物に襲われたときに命運をわけるのは、いつだって個体の免疫力だったのです。つまり、祖先からの命のバトンを受け取って今日を生きている私たちは、それだけ「強靭な免疫力」をもって生まれてきた、といえるのです。

まずは、ここに自信をもってほしいと思います。

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