免疫力。4

食で身体に栄養を!

読書で心に栄養を!

今月はコチラです!

免疫力 - 正しく知って、正しく整える - (ワニブックスPLUS新書)

免疫力 – 正しく知って、正しく整える – (ワニブックスPLUS新書)

  • 作者: 藤田 紘一郎
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2020/06/09
  • メディア: 新書

 

自然免疫は、風邪のウイルスとどのように闘うのか

私たちにもっとも身近な病気。それは風邪でしょう。

 

では、風邪にかかたとき、私たちの身体ではどのようなことが起こっているのでしょうか。ここから免疫の働きを具体的に見ていきたいと思います。

 

風邪の原因となるのは、約90%がウイルスです。主にはライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルスなどです。なお、流行性のインフルエンザは、インフルエンザウイルスによるもので、症状の重さも異なるため、医学的には風邪とは区別されています。ただ、インフルエンザウイルスも新型コロナウイルスも、感染すれば、免疫の働きは同じ経過をたどることになります。

 

私たちの体内に備わっている粘膜には、ウイルスなどの外敵が身体に入り込まないように、繊毛や粘液などでバリアが張られています。しかし、それを突破して入ってくるウイルスがいます。

 

ウイルスは、人の身体に侵入すると、自分の仲間を増やすために、人の細胞に真っ先にとりつきます。

 

ウイルスは、微生物でもっとも原始的な生物で、宿主がいなくては生きることも、子孫を残すこともできません。宿主とは微生物が棲み処とし、栄養などの生育条件を依存している相手のことです。人の体内に侵入してきたウイルスは、人の細胞にとりついて、中に入り込むことを真っ先に行います。そうして宿主の細胞が営んでいる正常な働きを止め、宿主の細胞に自分のコピーを作るように仕向けていきます。

そのコピーの材料となるのが、宿主とされた細胞と細胞膜です。ウイルスのコピー作業が進めば宿主の細胞は壊れます。そこから新たなウイルスが粒子となって飛び立ちます。1個の細胞からは数千という新たなウイルス粒子が誕生し、新たな宿主を求めて次々と細胞にとりついていくのです。

 

ですから、感染を放置しておくことはできません。放置すれば、ウイルスにたちまち身体をのっとられてしまいます。

 

そこで、自然免疫チームの登場です。ウイルスの侵入を発見すると、マクロファージや好中球、樹状細胞が働き、風邪のウイルスを食べつくしていくのです。

 

また、NK細胞の働きは、ウイルスに感染した細胞を「自殺」させることです。そうしてウイルスもろとも破壊していき、ウイルスのさらなる増殖を防ぐのです。

 

細胞の自殺は、医学用語では「アポトーシス」といいます。細胞には、遺伝子に障害が生じた場合など、自ら死んで身体を守るようプログラムがなされています。NK細胞にはこのアポトーシスを誘導する働きがあるのです。

 

風邪の引き始め、のどが痛くなったり、鼻水やくしゃみが出たりします。これはアポトーシスによって細胞を失うことで、粘膜が刺激されるからです。これが炎症の正体であり、免疫の防御の働きによるものです。

 

ここまでが、自然免疫の働きです。この自然免疫のチーム力だけで、風邪のウイルスを排除できれば、発症したとしてもごく軽い段階でおさまります。さらに自然免疫の力が強ければ、無症状のまま、私たちはウイルスに侵入されたことにも気づかず、日常生活を続けることができるというわけです。

コメントは停止中ですが、トラックバックとピンバックは受け付けています。