免疫力。5

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免疫力 - 正しく知って、正しく整える - (ワニブックスPLUS新書)

免疫力 – 正しく知って、正しく整える – (ワニブックスPLUS新書)

  • 作者: 藤田 紘一郎
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2020/06/09
  • メディア: 新書

 

免疫力の強化に「規則正しい生活が大切」な理由

同じ空間にいて、風邪を引く人がいる一方で、まったく症状の出ない人がいます。この違いこそが、自然免疫の力の差です。

自然免疫は、病原体のことを学習したりしません。侵入してきたウイルスや細菌に特異的に結合する武器を作ることはありません。学習にも武器を作るにも、時間がかかります。そこに時間をかけていたら、ウイルスはどんどん増殖し、身体の細胞は次々に破壊されてしまいます。その行く末は、祖式や臓器の破壊であり、宿主の死です。これを防ぐために、自然免疫はすばやく動き、ウイルスなどの異物を発見したら、ただちに倒していくのです。

ですから、自然免疫のチーム力が、迅速性にも戦闘力にも長けた状態を保てていれば、病原ウイルスに感染しても、症状が出る前、あるいはごく軽度の炎症が出た状態で、敵を退治できます。

 

反対に、自然免疫では病原体の活動を防げない状態になると、獲得免疫が働きだします。つまり、獲得免疫が活発に働き始めるのは、なんらかの症状が出た後です。ですから、病気で辛い思いをしないためには、自然免疫だけで対処できたほうがよいのです。

では、自然免疫を強化するには、どうするとよいのでしょうか。

 

自然免疫は人類が進化の過程で生得したもので、生まれながらに備わっているシステムです。ただし、一生涯同じ強さに保たれているのではありません。

 

乳幼児のころは弱く、成長とともに強くなっていきますが、高齢になると低下していきます。これが、子どもや高齢者が感染症にかかりやすく、しかも重症化しやすい理由です。

 

ただし、同じ人で同じ年齢であっても生活の状態によっても大きく変わってきます。若い世代の人であっても、生活の在り方で自然免疫は強くもなれば、弱くもなります。これは自然免疫が「体内時計」の影響をより受けやすいためです。

 

体内時計とは、約24時間の周期で変動する生理現象のことで、ほとんどの生物に備わったシステムです。人の生命活動も、免疫の働きも含めて、体内時計が刻むリズムに強く影響を受けています。

 

たとえば、NK細胞の活性は朝の9時前後と夕方5時前後に高く、夜の9時ごろになると低くなります。これは人間が昼行性の動物のためです。人間は誕生以降、日の出とともに外に食糧を探しに行き、日の入りとともに寝るという生活をおよそ700万年も続けてきました。その生活スタイルに合わせて、人の身体も免疫も進化しています。

 

大自然に出ていけば、当然、未知なる微生物とたくさん接触することになります。ですから日中はNK細胞を血液中にたくさん巡らせておき、いつ異物が侵入してきても倒せるように免疫が準備しているのです。反対に、ねぐらの中で過ごし、異物と遭遇する頻度の少ない夜は、NK細胞の活性を下げて休ませているというわけです。

 

このように、人の免疫力は、原始的な生活の中で発達してきたものです。ですから、原始時代のように規則正しい生活をしているときほど高まるものです。反対に、文明的な生活の中では低下します。とくに注意したいのは昼夜逆転の生活です。

 

「残業で帰れない」あるいは「夜は飲みに行きたい」「遊びに行きたい」という生活をしている人がとても大勢います。ですが、夜はNK細胞の活性が極めて低くなっています。その状態で他人と濃厚接触するような場所に身を置くのは、感染症にかかるリスクがあると自覚する必要はあるでしょう。

 

若い人であっても、不規則な生活のなかでは、自然免疫の活性を落とし、感染症にかかりやすくなるのです。

 

 

 

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