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今月はコチラです!
免疫力 – 正しく知って、正しく整える – (ワニブックスPLUS新書)
- 作者: 藤田 紘一郎
- 出版社/メーカー: ワニブックス
- 発売日: 2020/06/09
- メディア: 新書
手洗いもやりすぎれば、感染症にかかりやすくなる
では、薬用せっけんや消毒剤などを使って、手を洗ったらどうなるでしょうか。薬用せっけんでしっかり手を洗い、消毒剤を手に吹きかければ、たしかに外から付着したウイルスなどを排除できます。それと一緒に皮膚の健康を守っている皮膚常在菌も数を減らしてしまいます。
実際、せっけんを使うと、1回の手洗いで、皮膚常在菌の約90パーセントが洗い流されると報告されています。ただし、1割ほどの常在菌が残っていれば、彼らが再び増殖し12時間後にはもとの状態に戻ることが分かっています。
したがって、1日1回、お風呂に入って体を普通に洗う程度であれば、弱酸性のバリアを失わずにすみます。朝起きて出勤する頃には、皮膚常在菌はもとの状態に戻っているでしょう。
ただ、昔ながらの固形石鹸でさえ、常在菌の約9割を洗い流してしまう作用があるのです。薬用せっけんや液体ハンドソープ、ボディソープなど、殺菌作用に優れた洗剤で手指を細部までしっかり洗い、さらに消毒剤などを吹きかけたりしたら、どうなってしまうでしょうか。さらに多くの皮膚常在菌が排除され、12時間ではもとに戻らなくなります。
こうしたことを、外出やトイレのたびにしていたら、わずかながらに残された皮膚常在菌が復活する時間を奪ってしまうことにもなります。そうして皮膚常在菌の数が著しく減ってしまうと、皮膚は中性になります。脂肪酸のバリアが作られなくなってしまうからです。こうなると、外からのウイルスや細菌が付着しやすくなります。そこには病原性を持つものもいるでしょう。人が感染性にかかりやすくなる状態が築かれてしまうのです。
つまり、殺菌作用のあるものを使って、手を無菌状態に保とう棟とすれば、かえって病原体が付着しやすい状態が作られてしまう、ということなのです。
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