免疫力。10

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免疫力 - 正しく知って、正しく整える - (ワニブックスPLUS新書)

免疫力 – 正しく知って、正しく整える – (ワニブックスPLUS新書)

  • 作者: 藤田 紘一郎
  • 出版社/メーカー: ワニブックス
  • 発売日: 2020/06/09
  • メディア: 新書

 

ウイルスの目的は「殺人」ではなく「共生」

杏林大学医学部感染症学教室で長年研究を続け教授を務めた神谷茂博士は、次のように語っています。

 

「人は生まれた直後から、微生物とともに生きている。清潔にするのは悪いことではないが、われわれの敵か仲間か見極めず、すべてを敵視するのは、いきすぎだ」

 

微生物には、私たちに病気を起こすものがいる一方で、健康を守ってくれるもの、免疫力の強化のために働いているものなどがいます。

 

地球上に無数にいるウイルスのうち、人に病気を起こすウイルスはわずか1パーセントで、残りの99パーセントは病気を起こさないとも見られています。それでもときには風邪を引き、食あたりを起こすでしょう。これは原因となる微生物にかてるだけの免疫力が今の自分の身体にないからです。

ただし、私たちの免疫力は、特定の病原体と接するたびに学習し、抗体の力を段々と強めていきます。このことはお話しました。ですから、免疫力を高めるためには、微生物と普段から適度に接する生活が重要です。

 

一方ウイルスも学習します。ウイルスの目的は宿主となる人を殺すためではなく、規制することだからです。感染拡大の初期は、自分の子孫を増やすために、感染力を高めます。それによって病原性も強まります。ですが、やがてウイルスも学習します。病気を悪化させて宿主が死んでしまったら、自分たちも生きていられない、ということに気づくのです。それでは困るので、病原性を段々と弱めていきます。そうやって、生き残る身をウイルスも探すようになるのです。

 

そうして、ウイルスが病原性を弱めていく一方で、人間は抵抗力を高めていきます。そのバランスがとれたとき、流行は必ずおさまっていきます。ですから私たち人間は慌てず恐れず、自分の免疫力の向上に勤めながら、そのときを冷静に待つ必要があるのです。

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