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子育てベスト100――「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり
- 作者: 加藤 紀子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2020/06/11
- メディア: Kindle版
SECTION2:思考力をつけるには?
METHOD27 「やり抜く力」を養う
-努力と情熱がものをいう
英語で「グリット」とは、目標に対して興味を持ち続け、困難や挫折を味わってもあきらめずに努力を続けられる力、すなわち「やり抜く力」のことです。
アメリカの教育省が21世紀教育の最重要課題として掲げ、オバマ前大統領やマイクロソフトのビル・ゲイツ、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグをはじめ、各界のリーダーたちがこの「グリット」を重要視しています。
グリット研究の第一人者であるペンシルバニア大学の心理学者アンジェラ・ダックワース教授は、人が偉業を達成するには才能よりもグリットが重要であることを科学的に実証しました。
さらに、グリットを計測する方法を独自に編み出したところ、社会的に活躍している人々はその数値が高いことがわかりました。
グリットが強い人は、自分のやるべきことを最後まで成し遂げやすいこと、またグリットは幸福感や健康とも比例していることがわかっています。
グリットの強さには遺伝的な影響もありますが、ダックワース教授は、グリットは「伸ばせる能力」だと言っています。
「やり抜く力」はどう伸ばす?
■好きなことを見つける
ダックワース教授は「その道を極めた人でさえ、最初は気楽な初心者だった」といい、「必死に努力する以前に、まずは楽しむことが大事」と述べています。
アメリカの教育心理学者、ベンジャミン・ブルーム博士の研究でも、なにごとも習い始めの時期には、やさしくて面倒見のよい指導者を得ることが重要であり、威圧的で厳しすぎる両親や教師は、子どものやる気を損なってしまうことがわかっています。
まずは子どもがどんなことに情熱を感じているか、興味の対象が何かをじっくりと観察します。
■「少し高めの目標」を設定する
情熱は傾けられることが見つかったら、少し高めの目標を設定し、それをクリアするために練習します。できれば同じ時間に同じ場所で練習することを「日課」にします。好きなことがまだみつからない場合でも、毎日の宿題や運動などで、少し高めの目標を設定して練習を重ねれば、勤勉さが身に付きます。
ヒューストン大学の心理学者、ロバート・アイゼンバーガー教授は自身の研究から、勤勉さは練習によって身につけることができ、難しいことに取り組むことで、他の難しいことにもとりくめるようになると結論付けています。
■すぐにやめない
「先生に怒鳴られた」「試合で負けた」「朝練が辛い」といった一時の感情に流されず、始めたことは区切りのいい時期まで一生懸命取り組むようにします。
■親が手本となる
ブルーム博士が世界トップクラスのスポーツ選手や芸術家を対象に行った研究では、親が子どもたちにとって「努力の手本」となっていることがわかりました。
ダックワース教授は、親も自分にハードな目標を設定し、「それに対してどれくらいの情熱と粘り強さをもって取り組んでいるか」、そして「子どもが自分を手本にしたくなるような育て~をしていると思うか」を考えるべきだといっています。
■褒め方に気をつける
生まれながらの才能や結果、成績を評価するよりも、努力の過程をほめたり、「もう少し時間をかければできるようになるよ」と諦めないよう励ますほうが、努力できる納涼を伸ばすことにつながります。
■グリットの強い人で囲む
グリットの強い人たちに囲まれていると、自分も自然に連帯感や共同体のような意識を抱くようになります。ダックワース教授の家庭では、家族全員がそれぞれハードなことに挑戦し、粘り強く続けることを実践しているといいます。グリットは集団の力でも養えるのです。
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