稲森和夫80の言葉。６

食で身体に栄養を！

読書で心に栄養を！

 

今月はこちら！

みんな、気に入ったら購入しようね。

 

０６　「経験」が加わってこそ

　　　「成果」が生まれる

 

自分で試行錯誤を繰り返し、

苦労して初めて分かることも多い。

経験則と理論が噛み合ってこそ、

素晴らしい技術開発やものづくりができる

 

稲盛和夫が松風工業に入社して、研究のために毎日原料を粉砕するポットミルという器具を1日中回していたときのことです。最初のころ、稲盛は原料の粉砕、混合という手順に従って「何気なく作業をして」いましたが、教科書に書いてある手順通りにやっているにも関わらず、実験で思うような結果が出ないことが何度か続きました。

 

「なぜだろう」と不思議に思っていると、稲盛がさっと洗うだけの使い終わったポットミルを、1人の先輩がたわしやヘラをを使って丁寧に洗い、タオルで拭く姿に目が行きました。違いはそこでした。前の実験に使った粉がわずかでもポットミルに残っていると、それだけで、セラミックの微妙な特性はへんかします。それを防ぐために、先輩は徹底的に洗浄していたのです。以来、稲盛は先輩を見習って、器具の洗浄を徹底するようになりました。それが、その後の成果へと繋がっていったのです。

 

教科書に書いてある通りにやっても実際の現場ではその通りにならないことがよくあります。学んだ「理論」だけでなく、現場で試行錯誤を繰り返すことで身につけた「経験則」が加わってこそ、素晴らしい成果が生まれるのです。