突破論より

今月はこの本のコラムより。

10年以上前の本なんだけどたまに読み返します。

突破論。

突破論。

  • 作者: 中村俊輔、他
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2010/04/16
  • メディア: 単行本

 

人は逆境や壁に直面したときに、

成長するためのきっかけがつかめる

(内田篤人)

 チームが勝っていない時期だったので、ここで「痛い」と言って、戦列を離れるのがイヤだったから、とにかく監督が起用してくれるのであれば、その期待に応えたいと思いました。離脱は、“逃げ”のような気がしたから。理由は分からないけど、自分の調子が悪いことは理解していました。ただ、体調不良やけがを理由にしたくなかった。そういうのはダサいと思ったんです。けがのことを公に口にすれば、「けがや吐き気があるから、プレーの調子が悪い」と僕自身が考えるかもしれない。調子の悪い理由はそんなことじゃなく、単純に壁にぶつかっているのかもしれないのに、違う理由に逃げてしま いたくはなかったんです。

 

 僕は、感情を表に出さないタイプです。自分の気持ちが揺れているのを他人に見られたくない。特に悔しさやや怒り、痛いとか疲れたと言うなど、ネガティブな感情は出さない。感情をストレートに表現できる人がうらやましいと思うこともあるけれど、自分にはできません。だから、落ち込んだ自分を悟られたくないし、弱音を吐くことはしたくない。そういう姿が生意気に映ることもあるかもしれないけど、生意気な部分、意地っ張りな部分がなければ、僕はプロでサッカーをやれていないと思う。プロになってからそういう性格になりましたね。本当は落ち込んでいたとしても、その姿を見せると崩れてしまいそうになるから。

 

 

 ときどき、サッカーを辞めて、小学校の先生になって、「内田先生、サッカー上手い!!」と子どもたちにチヤホヤされるのもいいなぁって思うくらい落ち込むこともあるし(笑)、サッカーが楽しくないなぁと感じることもあるけれど、まだ22歳ですから、これくらいのことでへこたれてはいられない。

 

 

 確かに若くして、代表やクラブで試合に起用してもらえたのは、運がいいと思うし、監督やチームメイトには感謝しています。でもなんでもポンポンと順調にいけば、それはそれで楽しいかもしれないけど、僕が求めているものとは少し違う。人は逆境や壁に直面したときに、成長するためのきっかけがつかめるはずです。ずっと良いことばかりだと、選手としても人間としても成長できない。だから苦しいときこそ、逆に成長するチャンスなんだと考えました。今、大変だと感じることも、ありがたいことなのかもしれないと思うんです。

 

 

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