言語化

今月の3の日もこの本のコラムです。

俺しかいない【Kindle限定版】 (WPB eBooks)

俺しかいない【Kindle限定版】 (WPB eBooks)

  • 作者: 堂安律
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2023/03/23
  • メディア: Kindle版

言語化

自分の置かれた立場や状況を客観的に把握して、うまく言語化できる人間じゃなければ、目の前に立ちふさがる壁を乗り越えることは不可能だ

 

昔はすぐに一喜一憂してしまい、メンタルの波が激しかった。ピッチに立つまで悩んでいたこともあったし、頭の切り替えができず、そのモヤモヤを引きずって中途半端なプレーをしていたこともあった。だから、前の試合でいいプレーをしても、次の試合でなかなか継続できない。調子の波が激しい選手だった。「このままじゃ上には行けない」「変わらなきゃダメだ」という思いが日に日に強まっていった。

2020年、コロナでシーズンが打ち切りになり、自宅待機していたタイミングで自分を見つめ直した。技術やフィジカルはすでにトレーニング出来ていたけど、心のトレーニングが圧倒的に足りていないと悟った。当時、俺はよくインタビューで「強い人になりたい」と言っていたけど、その言葉の意味をうまく説明できていなかった。自問自答を繰り返して、ふと頭に浮かんできたのは、「強い人」=「人間力のある人」=「何事もうまく言語化できる人」だった。

なにかに行き詰っても、上手く言語化できれば、すぐ行動できるし、改善できる。感覚だけ、勢いだけでやっている人は解決策をなかなか導き出せない。調子の波が激しい人は言語化ができていないのだ。PSV1年目のころの俺がまさにそう。感覚だけでやっていたから、「強くならなくちゃいけない」と思っても、問題の本質は分かっていなかった。

もしかしたらメッシや(クリスティアーノ・)ロナウドみたいなトップ選手は、何も考えずに感覚だけでやれちゃうのかもしれない。でも、きっと言語化もうまいはずだ。たとえ不調になっても、その理由が自分で分かっているから、常に一定のレベルでプレーできるんだと思う。

俺は天才じゃないから、なおさらしっかりと言語化できるようにならなきゃいけない。自分の置かれた立場や状況を客観的に把握して、うまく言語化できる人間じゃなければ、目の前に立ちふさがる壁を乗り越えることは不可能だ。どんどん泥沼にハマってしまう。

 

うまく言語化できるようになると、マップみたいなものが頭の中に自然と浮かんできて、「俺は今こういう状況だから、こうしなきゃいけない」ということが手に取るようにわかってくる。

 

ピッチの中だけじゃなく、普段の生活でもそう。機嫌が悪くなったり、不安になったりしても、「なぜそうなのか?」と冷静に言語化することで、うまく自分をコントロールできるようになるんだ。

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